Alipayの特徴・メリットとは?決済の流れやサービスと導入方法を解説

2019/11/26

Alipayの特徴・メリットとは?決済の流れやサービスと導入方法を解説

インバウンド需要を取り込むにはキャッシュレス決済の導入は不可欠といわれています。特に、中国人訪日客や越境ECで中国人利用者をターゲットにしている事業者であれば、決済手段にAlipayを加えておくメリットは大きいでしょう。

本記事ではAlipayの基礎知識や導入メリット等について解説します。

この記事の目次

Alipayの提供するサービスには、「決済サービス」と「その他サービス」の2種類がありますが、この段落では主に決済サービスとしてのAlipayの特徴の紹介と実店舗・EC事業者がAlipayを導入する必要性について解説を行います。

1-1.Alipayの特徴

中国国内でのキャッシュレス決済では「Alipay(アリペイ)」と「WeChatpay(ウィーチャットペイ)」が多く用いられています。

Alipayとは、中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)が提供するキャッシュレス決済システムで、中国最大のECプラットフォームタオバオの決済手段として普及しました。WeChatpayは、中国の騰訊(テンセント)が提供するSNSであるWeChatが提供している決済サービスです。

中国は人口数が世界一であり、さらにキャッシュレス化が進んでいる国であることから、中国でのキャッシュレス決済の利用者は日本と比べて桁違いに多いです。

その中国をはじめ、東アジアで最も利用されているサービスの一つがAlipayです。アジア地域を中心にアクティブユーザー数は10億人以上で、日本の加盟店舗数は30万店を超えています。(2019年5月13日、アリぺイジャパン株式会社発表)

このようなAlipayを含む2018年の中国でのモバイル決済金額は約4709兆円に上り、そのうちAlipayのシェアは54%に達しています。(出典:『新華網ニュース』 (2019年3月21日))

Alipayは世界最大級のキャッシュレス決済サービスプロバイダーといってよいでしょう。AlipayはECサイトでのオンライン決済だけでなく実店舗でも利用可能です。店舗は、端末型、タブレット型、ステッカー型、POS型の4種類から選べます。

決済サービス以外にもAlipay利用者向けに、信用スコア診断や資産運用などさまざまなサービスが提供されており、Alipayは「ライフスタイル・スーパーアプリ」を標榜しています。

1-2.Alipay導入の必要性

日本でのAlipay導入の必要性について、実店舗とECの2つの側面から考察してみましょう。

まず、実店舗についてですが、訪日外国人旅行者は年々増え続けています。2018年には3000万人を突破しており、日本政府は「2020年に訪日客を4000万人にする」という目標を掲げて、今後も増加が期待できます。(出典:観光庁『明日の日本を支える観光ビジョン』)

中でも、国別の比率で見ると中国人観光客が全体の26.9%で最も多く、年間800万人以上が訪日しています。(出典:日本政府観光局『訪日外客数(2018年12月および年間推計値)』 )
特筆すべき点はその購買力で、訪日外国人の中では最も大きく、1兆5450億円を消費しているのです。(出典:【訪日外国人消費動向調査】2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額(確報))

日本政府観光局『訪日外客数(2018年12月および年間推計値)』

出典:日本政府観光局『訪日外客数(2018年12月および年間推計値)』

観光庁『2018年の訪日外国人旅行消費額』

出典:【訪日外国人消費動向調査】2018年(平成30年)の訪日外国人旅行消費額(確報)

このような中国からの潜在顧客を取り込むためには、中国国内でのキャッシュレス決済シェアをWeChatPayと二分するAlipayの導入は必須といえます。中国国内でのキャッシュレス決済は60%まで普及しており(2018年10月時点)、現金を使わない生活が中国人の間で一般的になりつつあります。

加えて、中国国内でのAlipayのシェアは圧倒的なため、Alipayを導入しておくことは販売機会ロスの低下や集客力の向上につながるでしょう。したがって、Alipayが使える実店舗は集客力も高まり、中国人の購入頻度や金額の向上恩恵を受けることができるでしょう。

つぎに、ECへのAlipay導入の必要性についてですが、世界中でEC利用が増加する中、海外消費者が日本のECサイトで購入する越境ECも拡大傾向にあります。特に、中国からの越境EC率は高いものがあり、日本からの購入額は2018年には1兆5345億円に上りました。(出典:経済産業省『平成30年度 電子商取引に関する市場調査』)

この額はすでに説明した訪日中国人の消費額と同程度という点がポイントです。これは、中国人が訪日後さらに越境ECでも再度購入するというサイクルができていることが理由のひとつと言えるでしょう。しかしながら、越境ECで利用可能な中国人向け決済手段は限定的なため、Alipayを導入していれば、中国人消費者の購買ニーズに対応できるといえます。

経済産業省『平成30年度 電子商取引に関する市場調査』

出典:経済産業省『平成30年度 電子商取引に関する市場調査』

この段落では、会計・支払い処理の利便性や販促の観点からAlipayを使うことのメリットについて説明します。

2-1.決済処理のスムーズ化

Alipay導入の最大のメリットは、決済処理が合理化されスムーズになることです。これにより、実店舗でもECサイトでも同様の効果が得られます。それぞれの特徴を考察してみましょう。

まず、実店舗の場合ですが、Alipayを使えばレジでの現金の計数や受け渡しが不要になり、釣り銭の受け渡しに関するミスや盗難のリスクを大きく低減させます。

また、Alipayの実店舗での決済は、店舗側が表示するQRコードを読み取る、または消費者が提示したQRコードを店舗の端末で読み取る方式となり、簡易的に決済処理が可能となります。

一方で、ECの場合には消費者の手数料コストを大幅に削減可能です。例えば、商品購入代金を国際送金などで支払うと、手数料がかかる上に送金手続きや外貨両替といった手間も発生します。Alipayを使えば、Alipayが提供するプラットフォームの中で完結するので手続きが簡単で、さらに迅速に決済ができるのです。

Alipayによる決済処理に関して、実店舗とECに共通するメリットは、為替変動リスクがない点です。

決済の際、店舗では日本円で販売を行いますが、Alipayが人民元に換算し中国人利用者に人民元価格で提示します。日本のAlipay加盟店事業者への入金額は販売時点の日本円価格での売上げが円建てで支払われます。つまり、入金額はあらかじめ日本円で決定され、日本円で入金されるため、為替変動リスクがないのです。

2-2.新規顧客の獲得など販売促進

中国では一般的な決済手段であるAlipay導入は、訪日中国人への実店舗での販売や越境EC事業で、販売機会の増加や客単価上昇などの販売促進につながる可能性があります。

中国人旅行客の多くは海外でもモバイル決済を利用しています。なぜなら、日本円へ両替する手間も手数料も必要がなく、財布に手持ちの現金がなくても決済が可能だからです。操作性やお金の管理の面からも、日頃使い慣れた決済手段での支払いニーズは高いでしょう。

実店舗でAlipayに対応しておけば、Alipayが使えない店舗より購入されやすくなり、売上げアップにつながります。店舗でのAlipay決済の魅力は、スマートフォンでスピーディーに決済できる点です。

特に訪日外国人を対照とする場合、手持ちの日本円に限りがあることが多く、売り逃しが発生してしまうケースがありますが、Alipayが導入されていれば、欲しいと思った瞬間に購入してもらえる可能性も高くなるため、衝動買い需要まで取り込むことができるといえます。

一方で、越境ECサイトの場合は、Alipayなどの中国決済に対応していれば、利用者は、為替変動リスクに悩まされることなく、自国通貨の人民元で、また慣れ親しんだ決済手段で安心して決済ができるため、販売促進が期待できます。

Alipayは、すでに紹介したように、アクティブユーザー数においても、中国モバイル決済額シェアにおいても、中国国内トップを誇る決済手段です。そのため、日本の実店舗でも中国向け越境ECサイトの場合でも、Alipayを導入しておけば、決済に関する壁を極限まで低くする効果があり、多くの訪日中国人利用者に対応することが可能となるのです。

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら

実際にAlipayを導入した場合、店舗の店頭やオンラインでどのようなプロセスで決済を行うのかを紹介します。

3-1.消費者提示型

消費者提示型とは、実店舗での決済方式の1つです。支払い方法としては、まず、利用者がスマートフォンアプリでQRコードを提示します。次に、店舗側がPOSや専用端末などの端末で利用者アプリに提示されたコードを読み取ることで決済が完了します。QRコードを読み取るだけなので、現金に比べると決済処理が早いことが挙げられます。

Alipayの消費者提示型で必要になる店舗側の端末は、3つのタイプから選ぶことができます。すでに店舗に導入されているPOS端末のほか、専用アプリをインストールしたAlipay加盟店用の専用端末に加え、市販のiPadなどのタブレット端末に専用アプリをダウンロードして読み取ることもできます。

導入コストを考えると、既存のPOS端末はシステム改修が必要となるため他2つの方法と比べるとコストや開発工数が多くかかります。専用端末やタブレットを利用すれば、機器代金はかかりますが、簡単かつ低コストでAlipay決済が導入できます。

消費者提携型

3-2.店舗提示型

店舗提示型の決済方法とは、店舗側がQRコードを掲示して、それを利用者が読み取ることで決済ができる仕組みです。店舗側のタブレットに表示したQRコードを利用者がスキャンして決済する「タブレット型」とQRコードを印刷したステッカーを店頭に掲示し、利用者がQRコードをスキャンして決済する「ステッカー型」があります。

店舗提示型のQRコードは読み取りさえできればよいため、プリントアウトした紙でも問題ありません。そのため、非常に安価かつ手軽に導入開始できるため、中国では最も多く利用されている方法です。

店舗提示型

3-3.オンライン決済

ECサイトなどのオンライン決済でAlipayを使うには、利用者はECサイトでAlipayを選択した後、Alipayのアカウントにログインして決済を行います。Alipayを使う中国人利用者は人民元で支払いができる一方、日本の事業者へは日本円で支払われます。

具体的な支払いの流れは、まず、利用者が支払った代金が人民元でAlipayに入金されます。次に、Alipayから日本円で決済代行会社に売上金が支払われた後、売上金から手数料を差し引いた金額が決済代行会社から事業者へ日本円で支払われるのです。

Alipayには決済以外にもさまざまなサービスがあります。そのなかでも導入事業者にとってメリットのあるものとして「広告サービス」と「信用スコア化」についてここで紹介します。

4-1.O2O集客

「O2O」とは「Online to Offline」の略で、WEBサービスなどのオンラインをきっかけに、オフラインの実店舗へ集客することを指します。

従来のEC中心のビジネスは実店舗と競合関係にあり、店舗で購入するユーザーが低下する傾向にありました。
例えば、PCのモニターではわかりにくい実際の商品のクオリティーや色などを実店舗で確かめて、購入はEC経由という購買スタイルが一般化していたのです。

この状況を改善して、オンラインからオフラインの実店舗へユーザーを呼び戻す戦略がO2Oの考え方になります。競合関係ではなくお互いに利があるような「互恵的関係」を生み出します。

O2O広告機能では、利用者アプリ上で店舗のクーポンを発行したり、セール情報や利用者からの口コミをアップすることにより実店舗の集客を促進します。

Alipayのモバイルアプリでは、生活に役立つさまざまな店舗情報を検索することができます。アプリユーザーは、買い物、グルメ、家電、コスメなど取り扱い商材別に店舗を検索できるほかクーポン情報が検索可能です。事業者は検索トピックに合わせて自社の店舗情報を掲載したり、クーポン配布したりすれば、認知度向上や集客につなげることができます。

Alipayの広告サービスの年間取扱総額は、日本円約2.9兆円(2016年)に達するほど利用されています。

4-2.芝麻信用

日本では近頃、スコアリングが注目を浴びていますが、中国では先行してスコアリングが活用、定着しており、Alipayにも個人の信用力をスコア化する「芝麻信用」という機能があります。「芝麻信用」は、会員の行動や決済履歴などにもとづいて、それらのデータをディープラーニングで分析し、個人の信用力をスコア化する機能です。

スコアが高い利用者には本来必要な手続きが簡略化されたり、保証金が免除されるといった特典が与えられます。そのため、高スコアの利用者ほどAlipayの利用頻度が高くなる傾向があり、さらなる購買が期待できるのです。

また、スコアが低くても、購買をして支払いも滞りなく行ったというデータが蓄積されれば、信用力も高まり特典・優待を受けられるようになります。高スコアを目指す利用者であれば、Alipayを積極的に使いたいと考えるため、日本でもAlipayを利用したいという訪日中国人は多いでしょう。

Alipay決済を導入するには、決済代行会社や金融機関などのAlipay認定の代理店に申し込みが必要です。なお、決済代行会社などの代理店によっては、Alipay以外にも訪日客に人気の決済手段を包括的に扱っている場合もあります。そのようなケースでは、複数の決済手段をまとめて契約・管理できるため管理の手間とコストを減らすことができます。

例えば、DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)の越境EC向け決済サービスでは海外消費者からニーズの高い、銀聯ネット決済、PayPal決済、多通貨クレジットカード決済など複数の国際決済を取り扱っています。このような決済代行会社を利用すれば、ワンストップで包括的に導入・運用することが可能です。

また、店舗でのAlipay導入ならその他複数のQRコード決済(d払い、WeChat Pay、メルペイ、LINE Pay )をまとめて導入できる、デジタルガレージの「クラウドペイ」やリクルートライフスタイルの「AirPayQR」がおすすめです。

マルチQRコード決済ソリューション「クラウドペイ」

AirPayQR

Alipayは中国人訪日客向け実店舗販売や越境ECで非常に役立つ決済手段といえます。導入すれば、Alipayの利用者10億人に訴求できるため、中国人向け小売ビジネスを行っている事業者であれば導入しない手はありません。

複数の人気国際決済を包括的に導入・運用できる越境EC向けの「VeriTrans4G」、店舗向けの「クラウドペイ」がおすすめです。ぜひ、資料請求や問い合わせしてみましょう。

      
汎用vol.2

ビジネスの成長を
DGフィナンシャルテクノロジーが
お手伝いします

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
スタッフがさらに詳しくご説明します。