顔認証決済が未来を変える!中国と日本での動向を解説

2020/08/18

顔認証決済が未来を変える!中国と日本での動向を解説
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中国では顔認証による決済が急速に広がっています。

2017年、Alipay(アリペイ)を運営する中国IT大手アリババは、深センのKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)に世界初の顔認証セルフ販売端末を設置。翌2018年、同社は顔認証決済端末「蜻蛉(チン・ティン)=トンボ」をリリースしました。それに追随するようにWeChat Payを運営するテンセントが「青蛙(チン・ワン)=カエル」を発表したのです。

顔認証決済システムはすでに中国国内のセブン・イレブン約1,000店舗でも導入されており、1億人以上のユーザーが利用登録しています。

防犯カメラが普及している中国では政府による後押しもあり、顔認証決済システムはすでに一般的になりつつあります。中国のモバイル決済市場は年間200兆人民元規模(28兆米ドル)に達していますが、顔認証決済がこれに取って代わるとの予測もあります。

出典:総務省『平成30年版 情報通信白書 第2章ICTによる新たなエコノミー形成』

顔認証決済技術は中国国内で普及していますが、日本国内でも実証実験は行われています。ここでは5つの事例を紹介します。

1.NEC×セブンイレブン

NECは、世界トップクラスの認証精度の顔認証技術を有しています。NECはセブンイレブンと共同で、顔認証決済を導入した実証実験店舗をオープン。DGフィナンシャルテクノロジー(旧:ベリトランス)はこの実証実験においてクレジットカード決済サービスを提供しています。

  ベリトランス(現:DGフィナンシャルテクノロジー)、セブン-イレブンの実験店舗におけるキャッシュレス決済実証実験に、顔認証決済サービスを提供

この顔認証技術は、専用端末を用いて利用者の顔画像、クレジットカード情報、確認用コードを事前に登録しておき、セルフレジ支払い時に認証するという仕組みです。顔と確認用コードという2つの要素で認証を行うため、簡単かつ安全に決済が完了します。

DGFTでは本実験にクレジットカード決済に加え、顔認証登録で生成されるユーザIDとクレジットカード情報を紐付けて登録することで、ユーザIDのみで決済を可能とする「ワンクリック継続課金」機能を提供しています。

  複数サイトも1IDで横断利用。VeriTrans4G クレジットカード決済「PayNowID」

その他にも、NECは2020年2月から本社ビル内において顔認証技術とセンシング技術をフル活用した無人コンビニを運用しています。

出典:日本電気株式会社『NEC、セブン-イレブンの実験店舗において、顔認証決済や商品案内用サイネージの視聴時間測定の実証を開始』

2.NEC×和歌山県 南紀白浜地域

和歌山県の南紀白浜では、観光客の顧客満足度向上による地域活性化の取り組みの一環として、2019年から顔認証の実証実験に取り組んでいます。こちらも、DGフィナンシャルテクノロジーがクレジットカード決済サービス及びワンクリック継続課金機能を提供しています。

観光客は、顔画像と決済に必要な情報を実証実験のサイトに事前登録することで、実証に参加している南紀白浜地域のホテル、テーマパーク、レストランといった各施設で「手ぶら」かつ「キャッシュレス」でサービスを受けることが可能です。

利用者は決済のたびに財布を取り出す必要がなく、高い利便性と安全性を実感できるでしょう。顔パスで素早く決済できるため、顧客満足度アップも期待できます。

出典:日本電気株式会社『顔認証を使って地域全体でおもてなし南紀白浜で始まった最新の地域活性化』

■南紀白浜 IoTおもてなしサービス実証のイメージ

南紀白浜 IoTおもてなしサービス実証のイメージ

  DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT) クレジットカード決済サービス導入事例「株式会社アワーズ 様」


3.パナソニック×ファミリーマート

2019年4月、パナソニックはファミリーマートと共同で、顔認証技術を応用した実験店舗をオープンしました。
利用者は事前に、専用スマートフォンアプリで顔画像とクレジットカード情報を登録します。入口のカメラで顔認証を済ませるとゲートが開き、利用者が棚から商品を手に取って会計用のテーブルに置くと、天井のカメラが商品を識別する仕組みです。

店内のカメラ映像から売り切れた商品を特定して店員に知らせる機能もあり、店員の業務負担の軽減を目指しています。

パナソニックは顔認証技術を応用して出入国管理システム「顔認証ゲート」も開発。羽田空港、成田空港、中部空港、関西空港、福岡空港、新千歳空港に導入されています。

出典:株式会社ファミリーマート『「行きたい、働きたい」をシンカ(進化)IoTを活用した「次世代型コンビニエンスストア」実現へ』

4.楽天×ロイヤルHD

2019年、楽天は楽天ペイのサービスの一環として顔認証技術「Facepay」(仮称)の実証実験を開始しました。楽天主催のイベントのほか、外食大手ロイヤルHDと共同で飲食店でも実証実験を行っています。

店舗に設置されたタブレット端末で顔認証を行うと、あらかじめユーザーが楽天ペイアプリに紐づけておいた支払い情報を用いて決済が行われる仕組みです。

なお、楽天は同年に東京ドームで行われたプロ野球パ・リーグ公式戦「楽天スーパーナイター」でチケットレス入場の実験も行っています。

出典:楽天ペイメント株式会社『「楽天ペイ(アプリ決済)」、ロイヤルグループの全国の「ロイヤルホスト」など、約460店舗で順次利用可能に』

5.ヤマダ電機は「ヤマダPay」を提供中

ヤマダ電機は2020年2月から自社カード会員向けにヤマダPayを提供しています。ヤマダPayは、ヤマダ電機公式アプリの機能「ケイタイdeクレジット」で顔画像を登録することで顔認証決済が可能になるサービスです。

2020年8月時点では、「YAMADA web.com江東新砂店」など東京都内の3店舗のほか、全国30店舗以上で導入されています。

出典:株式会社ヤマダ電機『顔認証決済ヤマダPay』

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら

顔認証決済によって、これまでと全く異なる顧客体験を実現することが期待されています。ここでは2つのポイントを紹介します。

手ぶらで買い物ができる圧倒的な利便性

顔認証決済では、利用する決済サービスに顔写真とクレジットカードなどの決済情報が事前に登録されていれば、店舗に設置されているカメラで顔を照合するだけで決済が完了します。

手ぶらで買い物ができる圧倒的な利便性

スマホなどの端末やクレジットカードを提示しなくてもよいので、これらを持ち歩く必要もありません。また、現金やカードの受け渡しが不要であるため、店舗従業員の負担が大幅に減ります。人と人との接触が減るので感染症対策にも有効でしょう。

セキュリティの高さもメリットです。事前登録している顔データと認証時の顔データが一致しなければ決済できず、人の顔は固有情報であるため、なりすましも困難です。基本的にパスワードの入力なども不要につき、カード情報の盗み見や流出による不正利用も防止できます。

顔認証技術は、セルフレジ端末やセンシング技術を併用すれば、店舗のさらなる省人化や無人化も可能です。無人店舗といえば「Amazon Go」が有名ですが、実はこちらは無数のカメラで顧客の動作を追っているだけであり、顔認証技術は使われていません。

顧客満足度の向上&売上アップにつながる

顔認証技術と他の技術を組み合わせると、顧客満足度向上や売上アップも期待できます。

例えば、決済情報を顧客情報と紐づけて一元管理することで、包括的なデータマーケティングも可能になります。決済するたびに会員カードを提示しなくても、顔認証で自動的に顧客データと照合してポイントやクーポンを付与することも可能です。

VeriTrans4G クレジットカード決済 PayNowID

  複数サイトも1IDで横断利用。VeriTrans4G クレジットカード決済「PayNowID」

この仕組みを応用すれば、ECサイトなど複数チャネルでIDを統一して管理できるため、オムニチャネル施策とも好相性といえます。実店舗での購買行動を元に、ECサイトやメルマガなどで最適な商品を提案するといった施策も実現できるのです。

決済に限らず、顔認証技術の利用に関してはプライバシー侵害とセキュリティの問題が指摘されています。

導入企業は、決済のために登録された顔データをどのように利用するのかというプライバシーポリシーの策定と、慎重な運用姿勢が求められているのです。

現状では、カード情報の不正利用対策のため、顔データによる認証だけでなく、確認用コードなどを用いた二段階認証を採用しているケースがあります。

楽天では、顔認証決済を利用する際は、事前に消費者が登録したスマートフォンと顔認証端末をBlootothを利用して認証させるか、事前登録したパスコードを入力させることでダブルチェックを行っています。

また、NECの顔認証決済サービスにおいては、登録された顔情報を数値化して本人を特定できないようにしたり、店舗端末には個人情報を保管しないようにしたりといった対策が講じられています。

出典:日本電気株式会社『顔認証決済~精度世界No.1顔認証キャッシュレス決済~』

顔認証決済は、店舗スタッフの手間やミスを減らし、圧倒的な利便性で顧客満足度の向上にもつながる仕組みです。すでに中国では普及しており、業務効率化や売上アップといった効果も実感されつつあります。

顔認証は現在、スマートフォンのロック解除、空港での出入国管理、チケットが必要なイベントでの本人確認、オフィスの入退館管理など、国内外のさまざまな場面で利用されている技術です。認証精度やプライバシーリスク、セキュリティといった課題があるのは事実ですが、これらが解決されれば、日本においてもますます普及することが見込まれています。

DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)ではパートナーと連携しながら、顔認証決済に国内最高水準のセキュリティを備えたクレジットカード決済サービスを提供し、安全・便利なキャッシュレス社会の実現を支援しています。

      
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