チャージバック発生時、被害届は提出すべき? | 基礎知識

2021/08/17

※本記事は株式会社アクル(Akuru,Inc.)「KNOWLEDGE」掲載記事の転載です。
この記事の目次

被害届提出のすすめ

クレジットカードのオンライン決済における不正利用・チャージバックの被害が発生した際に、貴社では警察への被害届を提出していますか?

いくつかのEC事業者では、管轄の警察と密にコミュニケーションを取り、捜査を進めてもらっている、というお話を聞きましたが、被害届の作成から書類を取り揃える作業、所管の警察署への提出に時間がかかり、なかなか通常業務がある中でそうした手続きを進める事が難しく、被害が出ても提出を行っていない事業者様が大半です。

実際に被害届を提出したことよって、果たして不正購入者が捕まるのか?という声もよく耳にします。あまり知られていませんが、チャージバック発生後に被害届を提出したことにより、犯人が逮捕された事例はいくつも存在します。中には、単純な犯人逮捕だけにとどまらず、犯人が逮捕された際に、弁護士を通じて被害金額の支払いを受ける事ができた、商品を取り返すことができた、という事例もあります。

犯人側が反省の意思を示すことで刑期を軽減するため、事後的に弁護士を通じて不正購入した商品代金が支払われる、というケースもあります。

あるEC事業者では、兼ねてから不正利用に悩まされていたこともあり、警察とはかなりコミュニケーションを密に取られていました。このEC事業部門に対しては、警察からの捜査協力も多くカード不正利用に関する捜査協力も実施しています。不正購入と思われる受注があった場合、この事業者の社内では不正注文だと判断するものの、おとり捜査のために意図的に発送してもらえないかと警察からの要請があり、検挙に至ることも良くある、というお話でした。(県警・府警などからは、捜査協力の謝礼の連絡等が頻繁に入るということです)

また、被害届が提出されない事で、警察行政機関に不正や被害の実態が伝わらず、認知されないため、捜査の強化や啓蒙活動などに綱がらない、またはマスメディア等にも取り上げられにくく社会問題として認知されにくい、という業界としての課題もあります。

EC運営によって、取扱いの増加を目指すことが各担当者様のミッションですが、例えば総務や法務の方々に相談し、警察機関との関係強化も進めてみてはいかがでしょうか。

■クレジットカードの利用における契約形態(3者間契約もあるがここでは除外)

チャージバック発生時、被害者は誰になる?

弊社にお問合せを頂くECサイト運営事業者様でも、警察に被害届を出そうとしたところ、「被害者はEC事業者ではなく、不正利用されたカードホルダーなのでは?」という話を受けて、被害届を受理してもらえないケースが多々ある様に聞いたことがあります。

また、3-Dセキュアを実装していると、原則としてカード会社が被害を補填する仕組みとなっているので、EC事業者は被害届を提出する必要は無く、カード会社が被害者になるのでは、といった声もお聞きします。

では実際、被害者は誰になるのでしょうか。

被害者はECサイト運営事業者

タイトルの通りですが、ECサイトでのクレジットカード不正利用発生時、被害者は紛れもなく ”ECサイト運営事業者” になります。

犯罪者である不正利用者が、自身の身分や購入時の代金収受にかかる情報(クレジットカード情報)を偽り、不正に商品を入手しています。リアル店舗で置き換えるならば、犯罪者が偽札で商品購入された、と考えるとイメージしやすいですね。

本来受け取るべき商品購入代金を受け取れない、という被害はEC事業者において発生しているため、被害者はEC事業者です。

また、保証サービスやチャージバック保険により、被害金額が第三者に補填された場合についても、被害者はECサイトの運営事業者、という事になります。似た事例に例えると、交通事故に遭ってしまった時に、保険金を受け取った場合と比較して考えるとスムーズかと思います。被害者は保険金を支払った保険会社ではなく、事故に遭ってしまった人、になりますね。

被害届が受理されない事には行政機関も社会的な問題が存在している事を認知できず、被害にあったEC事業者が泣き寝入りせざるを得ず、一方のクレジットカードの不正は野放しにされ、不正や被害は増加してしまいます。不正が増加し続けてしまうと、EC業界やカード業界にとっては成長を阻害する要因になってしまいます。

業界全体としてクレジットカードの不正利用被害の規模は増加している環境下において、成長事業においてアクセルを踏みたいものの、不正利用対策に足を引っ張られてしまう、、という事態を防ぐために、まずは目先で被害届を提出する取組みは進めて行く必要があると言えます。

■2018年の国内カード会社へのヒアリングでは、年間被害金額は約220億円に

アタックされないECサイト運営を行うには

まずは、クレジットカードの不正利用というリスクが存在すること、EC・通信販売におけるクレジットカード決済において、本人確認の責務があるのは販売者側になる、という事をしっかり理解し、社内にも説明する必要があるでしょう。

その上で、選択肢としてどの様なシステム設定があるか、外部ソリューションがあるか、具体的な外部ソリューションのメリット・デメリットなども可能であれば情報収集し、対策が必要なしかるべきタイミングで手を打てる様、認識することも非常に重要です。

当社、アクルでは決済業界出身のメンバーが各社の状況にあった解決方法をご案内しますので、遠慮なくお問合せ下さい。

補足 | 利用明細に覚えのない請求があった場合は?

今回の記事はあくまでカード加盟店向けの目線で記載していますが、一方でカードホルダー目線での被害者は誰になるか、ということも追記したいと思います。

先ほどのカード利用時の契約関係の図で言うと、以下の部分になります。

このケースでは、一般的に自分のクレジットカード情報がどこかで流出・漏洩し、悪用されている、ということなので、このカードホルダーも被害者です。

警察への被害届の提出においては、不正利用者(犯人)が特定できない状態ですが、紛失や盗難という形が一般的の様です。場合により異なる可能性、また弁護士見解により他の被害として整理される可能性があることも補記しておきます。

      

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