2022/01/18
※本記事は株式会社アクル(Akuru,Inc.)「KNOWLEDGE」掲載記事の転載です。
昨今ECにおける取り扱いが増加する一方で、不正注文も比例するように増加し、この被害を未然に防ぐための不正検知システムを比較するECサイトも増加しています。しかし、WEBで ”不正検知システム” や ”不正検知 比較” と検索してみると、色々なサービスが出てきて、どれが自分たちにフィットするのか、頭を悩ませている担当者の方もいらっしゃるかと思います。
確かに不正検知システムは導入後のイメージがわかなかったり、どこまで不正受注を減らしてくれるか明確な数字を保証してくれるものは無いため、何を基準にして導入判断をすればいいのか不明瞭かもしれません。
社内で不正検知システムを導入を推し進めたいけれど、どんな稟議の書き方をすればいいのか分からない、といった担当者の方も多い印象です。
今回は、そんなECの運営担当者の方に、不正検知システムを導入するための1つの基準をお伝えできればと思います。
その基準とは「フォローアップ体制がどこまで充実しているか?」という点です。
不正検知システムはサービスにもよりますが、以下のような売り文句があります。
- ブラックリストが充実している
- 端末を識別できる
- 様々なチューニング対応ができる
- 導入サイト数が業界一多い
これらの各社の特徴は不正検知において重要な部分もあるのですが、それよりも重要なのは「フォローアップ体制」だと考えています。
「フォローアップ体制が充実している」とはどういう意味でしょうか。
それは、「日々変わっていく不正集団の傾向を把握し、それに対して適切なチューニング対応を行っていく」ということを指しています。
このフォローアップ体制を重要視する理由を以下に説明していきます。
この記事の目次
不正利用の手口は日々変化している
まず大前提として不正利用の手口は日々変化しています。
話は過去にさかのぼりますが、クレジットカード決済の不正利用といえばプラスチックカードの偽造によるものが主流でした。しかし、クレジットカードのICチップ化が世界中で進んだことにより、この手口は減少していきました。
それに反比例するように、ECでの不正利用が増加しています。おそらく、従来は偽造による不正をはたらいていた集団が、ECに矛先を変えたのでしょう。
ECにおける不正の手口も変わってきています。
以前は、転売する商品を転送サービス運営会社や倉庫などに配送させ、そこから海外などに転売する手口が多かったのですが、ECサイト側がそういった住所への配送をしないよう対策を講じるようになりました。
次は、配送先を実際にマンションの一室や滞在しているホテルの一室に指定し商品を受け取る手口が流行りました。それに対してECサイト側はそのような住所をブラックリストに登録し、配送しないように対策を講じました。
直近では、ブラックリストに登録されていない住所に配送するために、「受け子」というアルバイトを雇い一般人に商品を受け取ってもらう、という手口を使うようになりました。最近ではフリマサービスなどを仲介させる手口も見え隠れしています。
どれだけ対策を講じても不正集団はなんとかかいくぐろうと必死に穴を探して仕掛けてきます。
そのため、その彼らの手口に対してこちら側もアップデートして対策を講じていかなければいけません。
誰が対策を講じるのか
日々変わっていく不正の手口に対して誰が対策を講じるのでしょうか。
不正検知システムは、不正を検知するために「住所」「端末情報」「IPアドレス」などの情報を取得し、そこからその取引は怪しいのかどうかを判断していきます。
判断するためのルールは各システム様々なのですが、そのルールは導入後継続して同じもので不正を防げるのでしょうか?
先述したように不正集団側は手口を変えてきていますので、こちら側の対策も合わせて変えていかなければいけません。
そうでないと、いつかかいくぐられてしまい、不正検知システムが宝の持ち腐れに成り下がってしまいます。
その時々によって不正検知のルールは変えていかなければいけません。
不正検知システムによっては、ECの担当者の方が自らルールを設定できるものもありますが、マクロの視点が少なく、自社ECサイトしか把握していない担当者の方が業界トレンドに適したルールを設定することは難しいと考えています。
各提携先に情報源を持ち、ECの不正利用に対して敏感に情報収集していない限り、難しいと思います。
仮に適した設定ができたとしても、一定の不正・被害が発生した後に設定されたものになるでしょう。
不正検知システムのルールの変更は、EC業界全体を把握している提供会社のスタッフがフォローに入る、または対応してくれる方が、できるだけ早く、適切に対応することができ、システムを有意義に活用することができます。
カード不正利用者もさまざま
日本で展開されている不正検知システムは、海外から輸入されたものが多く存在します。
海外での実績は豊富ですが、日本のECでの不正利用の傾向が反映しきれていない、日本にはルール変更等をサポートしてくれるスタッフがいないケースも耳にします。
不正利用の傾向は国・地域によって大きく異なってきますので、可能であれば日本国内での情報量・実績を重視したほうがよいと考えています。
- 家電を狙っている不正集団
- アパレルを狙っている不正集団
- デジタルコンテンツを狙っている不正集団
など、日本だけでもさまざまな不正利用者が存在していて、手口も異なっています。サイトによって不正の傾向は異なってきます。
そのため、対策(ルール設定など)は十人十色になり、そこを理解した上で柔軟に対応してくれるスタッフが付いてくれるのかどうか、という点が重要になります。
不正利用の手口は日々変わってきているため、その手口に対応していかなければいけません。
当社は、みなさんのECサイトを健全に運営していく上で、これらの課題にスピーディかつ柔軟に対応できる、”パートナー”であり”伴走者”になる必要があると考えています。