更新日|2025/10/17
ユーザーがアプリを利用中に、ゲームアイテム等のコンテンツを購入するケースがあります。一般的に「課金」と呼びますが、2つの決済方法があるのをご存知ですか。「課金」には「アプリ内課金」と「アプリ外課金」が存在します。2025年12月には「スマホソフトウェア競争促進法(通称:スマホ新法)」が完全施行されることからも「アプリ外課金(決済)」への注目が高まっています。 アプリ外課金の仕組みや、アプリ内課金と違い、さらには導入に向けたポイントを解説します。
この記事の目次
アプリ外課金サービス「アプリペイ」について詳しく知る
URL:https://service.app-pay.jp/
アプリ内課金とは何か
アプリ内課金とは、アプリを使用するユーザーに対して直接コンテンツを販売・課金させることができるシステムです。主な事例としては、ゲームアプリ内で欲しいアイテムを購入したり、動画視聴アプリで有料の動画を視聴したりする際に利用します。
アプリ内課金の決済手段
アプリ内課金には、主に以下のような決済手段が存在します。
- キャリア決済:アプリ内で課金した額を、後日携帯電話料金の支払いに合算して支払う
- クレジットカード決済:クレジットカード情報をアプリ内に登録し、クレジットカードで支払いを行う
アプリ内課金の4つの種類
アプリ内課金には、使い切りや自動更新される機能がついた、以下の4つの種類が存在します。
①消耗型課金
使い切りタイプのコンテンツに対して課金する仕組みです。ゲームアプリでいうと「体力回復アイテム」や「ガチャに使うコイン」などが代表例です。利用するたびに再度購入が必要になるため、その都度のアクションで課金が発生する形式と言えます。販売頻度が高く、回転率のある商品に向いています。
②非消耗型課金
非消耗型課金は、一度の購入で継続的に使える機能やアイテムを提供する方式です。例としては「広告非表示のオプション」や「機能制限を解除する有料版」などがあります。ユーザーにとっては一度の支払いでずっと使える安心感があり、アプリ側にとっても長期的な満足度を高める選択肢として活用されています。
③自動更新継続課金(サブスクリプション)
自動更新型のサブスクリプションは、月額・年額など定期的に自動で支払いが行われる課金形式です。動画配信や音楽アプリ、学習サービスなど、多くの定額制サービスがこの仕組みを採用しています。解約の手続きがない限り自動で更新されるため、ユーザーが継続的にサービスを利用する前提のアプリに適しています。
④非自動更新継続課金
一定期間使えるサービスに対し、ユーザーの意思で更新・課金するタイプです。たとえば「1カ月間だけの限定サービス」などを提供し、次月以降はユーザー自身が継続利用を決める必要があります。「自動課金は避けたい」というユーザーに配慮した形ともいえ、選択権を重視した仕組みになっています。
アプリ内課金の課題
アプリ内課金は、コンテンツの購入から決済まですべてをアプリ内で完結できるため、ユーザーにとっては利用しやすい仕組みです。しかし、アプリ事業者からすると、課題も存在します。
最大の課題は、高額な手数料です。その額は、コンテンツ販売額の15~30%にものぼります。
iPhone向けアプリは、Apple Storeのシステムを経由して支払う義務があり、Android向けアプリでもGoogleのシステムを経由する義務があります。
アプリ事業者は、システム利用料としてこの手数料をAppleやGoogleに支払っているのです。
これまで、アプリ内での課金は、AppleやGoogleが提供する決済システムの利用が一般的でした。この仕組みにより、安全性や利便性が保たれる一方で、決済手段の選択肢が限られ、新たなサービスや価格設定の柔軟性に制約がある状態が続いていました。
近年では、EUでは「デジタル市場法」、イギリスの「デジタル市場・競争・消費者法」が施行され、韓国では外部決済を認める制度の整備より、現在の状況が改善へと向かっています。日本でも、2025年12月にスマホ新法が完全施行されることで、アプリ外課金を導入しやすい環境が整備されつつあります。
アプリ内課金とアプリ外課金の違いとは
AppleとGoogleの方針転換に伴い、アプリ事業者はアプリ外課金という手段をユーザーに選択させることができるようになると見られています。では、アプリ内課金とアプリ外課金にはどのような違いがあるのでしょうか。課金の収益性や利便性などに違いが出てくるため、それぞれご紹介します。
アプリ内課金
アプリ内課金とは、スマートフォンのアプリ内で完結する課金手段で、AppleやGoogleが提供するシステムを通じて決済が行われます。ユーザーはアプリを離れることなく、数タップでゲーム内通貨やアイテム、定期購読などの支払いを完了できます。
●アプリ内決済の決算手段
- キャリア決済:アプリ内で課金した額を、後日携帯電話の支払いに合算して支払う
- クレジットカード決済:クレジットカード情報をアプリ内に登録し支払う
アプリ外課金
アプリ外課金とは、アプリ内ではなくwebページ上で支払いが完了する仕組みです。自由な価格設計や独自のユーザー体験の提供が可能なのが特徴で、スマホ新法の完全施行前である現在でも、Apple社やGoogle社のガイドラインに沿ってアプリ外で決済を実施することが可能です。
近年、海外でも導入が進み、日本でもアプリ外課金のモール型サービスや専用の決済システム構築サービス等の市場参入により本格導入の環境が整いつつあります。
【事業者側】アプリ内課金のメリット・デメリット
アプリ内課金は、AppleやGoogleのシステムを利用した決済方法のため、メリット・デメリットもそのルールに依存する部分が大きくなります。具体的には以下のようなものが挙げられます。
アプリ内課金のメリット
- 課金システムを開発する必要がない
- 導入のハードルが低い
- 決済までの流れがスムーズに完了する
課金システム開発のコストが必要ない点は、特に小規模アプリ事業者にとって魅力的と言えるでしょう。
また、アプリ内で決済が完了するため、一連の流れがスムーズで、ユーザーの途中離脱が発生しにくいのもメリットです。
アプリ内課金のデメリット
- AppleやGoogleに支払う手数料が高い
- 価格設定の自由度が低い
アプリ事業者がアプリ内課金を利用する場合、課金の価値をAppleやGoogleなどの定めた価格テーブルに合わせる必要があります。
そのため、事業者がコンテンツの価格設定を自由に行うこと自体難しいといえます。
【利用者側】アプリ内課金のメリット・デメリット
利用者にとってのアプリ内課金のメリットとデメリットは、下記のような点が考えられます。
アプリ内課金のメリット
アプリ内課金は、アプリの画面内でそのまま決済を完了できるため、操作が直感的でスムーズなのが大きな特徴です。外部ページへの移動が不要なため、決済からサービス利用までの流れが一貫しており、はじめての利用者でも安心して使いやすいと感じやすくなります。
アプリ内課金のデメリット
一方、アプリ内課金は支払い方法が限定的という課題があります。多くの場合、AppleやGoogleが定めた決済手段のみに対応しており、「いつも使っているキャッシュレス決済を使いたい」と思っても対応していないケースがあります。
【事業者側】アプリ外課金のメリット・デメリット
アプリ外課金には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
アプリ外課金のメリット
事業者にとってアプリ外課金の利点は、手数料の低さと価格設定の柔軟さにあります。プラットフォームを経由しないことで、AppleやGoogleへの決済手数料を支払う必要がなくなり、同じ課金額でも利益率が向上します。 また、自社でキャンペーンを自由に設計したり、独自の価格体系を設定したりできるため、収益性の高い課金モデルを構築しやすい点もメリットです。
アプリ外課金のデメリット
アプリ外課金の導入には、自社で決済システムの構築や運用を行う必要があります。初期コストやセキュリティ対策などの対応も必要となり、アプリ内課金と比べてハードルが高いと感じる場合もあるでしょう。
さらに、決済の際にアプリから外部サイトへ遷移する必要があるため、画面の切り替えを煩雑と感じた利用者が途中で離脱してしまうリスクもあります。
(スマホ新法の完全施行後は導線や案内の制限が禁止されるため、煩雑さが減るケースが増えると見込んでいます)
【ユーザー側】アプリ外課金のメリット・デメリット
アプリ外課金は、ユーザーにとってもメリットのある課金方式ですが、ユーザー側のメリット・デメリットを見てみましょう。
アプリ外課金のメリット
アプリ外課金の最大の利点は、支払い手段の選択肢が豊富であることです。クレジットカードやキャリア決済、QRコード決済、後払いなど、ユーザーが自分に合った方法を自由に選ぶことができます。
また、決済手段ごとにポイント還元や独自のキャンペーンが用意されている場合もあり、「お得に課金できる選択肢」があるのは魅力です。
アプリ外課金のデメリット
アプリ外課金では決済時に外部ページへ移動する必要があるため、アプリ内ですべて完結する場合に比べて操作の手間が増えます。この一手間が、特に慣れていないユーザーにとっては不便と感じられることがあります。
また、通信環境が不安定なときやスマートフォンに慣れていない層にとっては、決済の途中でつまずく可能性がある点にも留意が必要です。
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アプリ外課金に決済代行サービスがおすすめの理由
アプリ外決済の導入には、決済代行サービスを利用するのがおすすめです。
■決済システムの開発費用を抑えることができる
決済システムを自社で用意しなければならないことはアプリ外決済における大きなデメリットですが、決済代行サービスを利用すればこの問題を解決することが可能です。決済システムの開発や運用に必要な工数を抑えつつ、アプリ外決済を導入できます。
■複数の決済手段を一括で導入できる
アプリ外決済にはさまざまな決済手段が使用できますが、決済代行サービスであれば複数の決済手段を一括で導入することが可能です。
■決済会社独自のセキュリティ対策でセキュリティを強化できる
決済システムの運用において、セキュリティ対策は万全にしておかねばなりません。
自社で高度なセキュリティシステムを構築・運用するには大変な労力が必要ですが、決済代行サービスを利用すれば、高いセキュリティ強度も手に入れることが可能です。
■煩雑な決済業務を一元管理できる
システムやセキュリティの開発・運用のみならず、日々の決済業務も煩雑なものが多く、かなりの負担になるでしょう。決済代行サービスであれば、それらの煩雑な業務を一元管理ができます。
アプリ外課金の決済代行サービスの選び方のポイント
アプリ外課金の決済代行サービスを選ぶポイントとしては、利用料だけではなく以下の点を確認することが重要です。
【アプリ外課金向けの決済代行サービスの選び方】
- セキュリティ対策が整っている
- 決済完了までのステップが短い
オンライン決済において最も重要なことは、セキュリティです。まずはセキュリティ対策が整っているか確認するようにしましょう。具体的には、適切なセキュリティレベルを担保できている証明である、プライバシーマークやISMS認証、PCI DSSの認証を取得できているかどうかチェックをするとよいでしょう。
また、アプリ外課金では決済時に外部サイトへと移動するため、ユーザーが離脱してしまうリスクがあります。離脱防止のために、決済完了までのステップ数を確認しましょう。
デジタルガレージアプリ外課金サービス「アプリペイ」
東証プライム上場の株式会社デジタルガレージ(DGフィナンシャルテクノロジーの親会社)が提供する「アプリペイ」は、日本で初めてのアプリ外課金モール型サービスです。面倒な開発や審査を省き、アプリ事業者は簡単にwebでの決済環境を構築できます。 「アプリペイ」の決済システムは、当社の決済システムが提供する決済サービスを採用しています。
まとめ
ユーザーがアプリ内で課金をする際、これまではAppleやGoogleのシステムを利用したアプリ内決済のみが利用されていました。2024年6月、IT分野での自由な競争を促す「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(スマホソフトウェア競争促進法)が成立し、利用者の選択肢が増えるほか、アプリ事業者の課金の収益性が改善する可能性があります。
アプリ外課金の決済なら、決済手段が豊富なDGフィナンシャルテクノロジーまたはデジタルガレージへお問い合わせください。
よくある質問
アプリ内課金の支払い方法は?
主にキャリア決済、クレジットカード決済が代表的です。
アプリ外課金の決済実装や導入スケジュールは?
一般的には契約からリリースまで1~3か月が目安です。
デジタルガレージが提供する「アプリペイ」は、契約~リリースまで1~2か月が目安です。APIを各種用意しているため、必要最低限の工数で導入が可能です。
