更新日|2025/12/24

MaaS(Mobility as a Service)とは、ICTを活用してさまざまな移動手段をシームレスにつなぎ、単なる移動だけにとどまらない幅広いサービスを提供することです。
現代社会の主要な移動手段のひとつである自動車は、いわゆる「CASE」を軸に変革を迎えようとしています。「CASE」とは、Connected(つながる)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の4つの頭文字をとった造語です。
こういった自動車のデジタル化や新技術の導入によって、鉄道やバスといった他の交通機関と連携しつつ、MaaSは今後さらに普及すると考えられています。MaaSの進展により、自家用車のシェアリング利用が拡大して自動車1台当たりの稼働効率が向上することで、2035年には新車販売台数が2018年比で半減するとの予測もあります。
■国内の新車販売台数

出典:公益社団法人 日本経済研究センター『モビリティ産業のデジタル変革』
日本でも、国土交通省が総合政策局モビリティサービス推進課を立ち上げ、日本版MaaSの実現に向けさまざまな取り組みを行っています。
この記事の目次
MaaSの実現には決済基盤の統一が不可欠!その理由とは?
MaaSにより移動の利便性の向上が期待されますが、本格的な普及のためには決済基盤の統一が必要です。
決済基盤の重要性を理解するには、MaaSにおけるサービスレベルについて整理しておく必要があります。スウェーデンにあるチャルマース工科大学のJana Sochor氏によると、MaaSのサービスレベルには以下の5つの段階があるとしています。
MaaS統合レベル
- 統合なし:それぞれの事業者が個別にサービスを提供する状態
- 情報の統合:さまざまな交通手段の利用料金や経路などの情報が一元化されて表示される状態
- 予約、決済の統合:さまざまな交通手段の予約・発券・決済がアプリなどを通じて一括して行うことができる状態
- サービス提供の統合:さまざまな移動手段が定額制などの一元化されたパッケージとして利用者に提供される状態
- 政策の統合:都市計画やインフラ整備などの交通政策が一体となって提供されている状態
日本では、Googleマップの経路検索などで、MaaSのレベル1の「情報の統合」は実現されているといえますが、レベル2の「予約・決済の統合」には至っておらず、特定の事業者によって、SuicaやPASMOといった交通系ICカードを複数の交通機関で共通の支払い方法とすることにより部分的に実現されている程度です。今後本格的なMaaSを実現するには、レベル2の達成が不可欠といえます。
利用者の利便性が高まる・利用者にメリットがある
決済を統合すると各交通機関の支払いのために都度財布からカードや小銭を取り出す必要がなく、MaaSサービスに登録した方法でまとめて支払いができるので、利用者の利便性が高まります。
決済を起点に幅広いサービスを効率的に提供できる
MaaSは、利用者と各事業者をつなぐプラットフォームの役割を果たし、スマートな移動手段の提供だけでなく、ホテルやレストラン、ショッピングなど交通機関以外のサービスとも連携することでさまざまな産業の課題解決に貢献することが期待されています。多様なサービスの決済を独自アプリで一元化することで、幅広い業種に相乗効果をもたらす独自の経済圏を構築することが可能です。
例えば、観光地であれば公共交通機関のないラストワンマイル(目的地までの最後のわずかな道のり)を、予約に合わせてその都度運行するオンデマンドバスなどで埋めるとともに、域内での周遊パスや観光・宿泊施設を一括で予約・決済できる仕組みを提供できます。
また地方郊外なら、運転手不足やマイカー依存、高齢化といった地域課題を解決するために、路線バスやオンデマンド乗合タクシーなど複数の交通手段を組み合わせて定額制で提供。さらに、商業施設や飲食店、病院など幅広いサービスの予約・決済までワンストップで完結する仕組みを作ることも可能です。
■MaaSのイメージ

MaaS参入企業では決済サービスに進出する事例も
MaaSには決済面の整備が重要であると紹介してきましたが、実際にMaaS参入企業が決済サービスに進出する事例もあります。
トヨタ:TOYOTA Wallet
トヨタは、福岡、北九州、水俣、横浜など一部エリアで、統合モビリティサービス「my route」を提供しています。バス、電車、タクシー、サイクルシェア、レンタカーなどを組み合わせた移動ルートを提供し、予約・支払いもアプリで完結する仕組みです。
また、2019年には新車を月額定額で利用できるサブスクリプションサービス「KINTO」を開始しました。
さらに、2018年にはMaaSへの導入を見越し、移動、物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービス専用次世代電気自動車(EV)の「e-Palette Concept」を発表するなど、MaaSビジネスに注力しています。
2019年11月には、スマートフォン決済アプリ「TOYOTA Wallet」の提供をスタートしました。全国のトヨタ販売店だけでなく、iD、Mastercard®コンタクトレス、銀行Payが使えるさまざまな店舗で利用できます。今後は、「トヨタレンタカー」、「TOYOTA SHARE」、「KINTO」、「my route」、「MONET」など、内外のさまざまなモビリティサービスと連携する予定です。
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日本版MaaS普及に向けた課題と今後の展望
MaaSでは、各サービス間でのデータ連携が重要です。MaaSの実現に不可欠な移動情報・位置情報や、決済・予約に関わるデータをシームレスに連携するAPIなどの仕組みの整備が求められます。
スムーズに幅広い情報を収集するとともに、ユーザーの利便性を高めるためには、キャッシュレス化が不可欠です。今後はさらにキャッシュレス化が加速する日本においては一層求められるといえるでしょう。
■世界主要国におけるキャッシュレス決済状況(2022年)

出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会『キャッシュレス・ロードマップ 2024』
一括予約決済や定額利用サービスなど、シームレスな顧客体験を可能にするサービスが登場しています。国土交通省はMaaSを普及させるために、2020年度からキャッシュレス決済を導入する交通事業者に補助金を支給し、支援する事業を実施するなど、MaaSは官民一体となって取り組みが進められており、各地で実証実験も行われ、今後一層の普及が見込まれています。
まとめ
MaaSの発展には「移動の自由」を支えるだけでなく、「決済の自由」をいかに実現するかが大きなカギ になります。決済がシームレスに統合されることで、移動と生活サービスが有機的に結びつき、新たな価値を生み出す未来が近づいているといえるでしょう。
DGフィナンシャルテクノロジーでは、会員IDを複数サービスで共用可能になるように共有ID化し、共有IDにクレジットカード番号を紐付けて管理できる「クレジットカード番号保存機能」(PayNowID)というサービスを提供しており、さまざまな交通機関をまたいでサービス利用や決済を行うMaaSにも活用可能です。
DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT)はMaaS展開を決済インフラの側面からサポートしています。
