越境ECとは?メリット・デメリットや始め方、準備まで簡単に解説

      

更新日|2026/03/25

越境ECとは?メリット・デメリットや始め方、準備まで簡単に解説
この記事の目次

越境ECとは、日本のEC事業者が海外のユーザー向けに販売することをいいます。日本のECサイトは一般に、日本語と日本円で表示し日本国内への通信販売を行いますが、越境ECは、外国語と海外通貨に対応し海外の消費者に販売します。

越境ECは、国内で運営しながら海外市場に進出することができます。実店舗で海外へ出店するのに比べて、非常に小さなコストやリスクで商圏を広げられるため、新たなビジネスチャンスとして注目されています。世界の越境EC市場規模は年々拡大しており、2027年には4兆8,561億ドル(約504兆円)規模に拡大すると予測されています。(1)

【国内向けECと越境ECの違い】

  国内向けEC 越境EC
購入ユーザ 日本国内 世界各国
言語 日本語 外国語
通貨 日本円 各国通貨
支払い方法
  • クレジットカード決済
  • コンビニ決済
  • キャリア決済
  • 代引き、など
  • クレジットカード決済
  • PayPal
  • 銀聯カード決済
  • Alipay+など

(1)出典:令和元年度 電子商取引に関する市場調査

越境ECの方法|自社で運用する

自社のECサイトを多言語・多通貨対応にし、海外顧客向けに直接販売する方法です。ブランド価値を自社で管理でき、顧客データも自社に蓄積できます。一方で、決済や配送、カスタマーサポート体制などを自社で整備する必要があり、準備や運用負担は比較的大きくなります。

越境ECの方法|海外ECモールに出店する

AmazonやTmallなど、海外のECモールへ出店する方法です。既に集客基盤があるため、海外市場へ比較的スムーズに参入できます。モールのルールに従う必要があり、価格競争や手数料の負担も発生しますが、越境ECをテスト的に始めたい企業には有効な出店方法です。

越境ECの方法|保税区を活用する

中国などで活用されている手法で、保税区に商品を保管し、注文が入ってから通関・配送を行います。現地に在庫を置くことで配送期間を短縮でき、顧客満足度の向上につながります。ただし、制度理解や在庫管理など専門的な対応が求められます。

越境ECの方法|代行販売型

越境EC支援事業者に出店や運用を委託する方法です。言語対応やカスタマーサポート、物流手配などを任せられるため、自社の負担を軽減できます。手数料は発生しますが、海外ビジネスのノウハウが不足している企業にとって有効な選択肢です。

越境ECには、国内ECにはない多くのビジネスチャンスがあります。ここでは主なメリットを紹介します。

①海外の顧客を獲得に繋がる

越境ECを活用すれば、国内市場だけでなく海外市場の顧客にもアプローチできます。人口規模の大きい国や成長市場を対象とすることで、売上拡大の可能性が広がります。日本製品や独自性のある商品は海外で高く評価されるケースも多く、新たな顧客層の開拓につながります。

②簡単に出店・運営が可能

海外モールや代行サービスを活用すれば、現地法人を設立せずに海外出店が可能です。近年は決済や物流サービスも整備され、以前よりも参入障壁は下がっています。自社の状況に応じて運用体制を選択できる点も大きなメリットです。

③ビジネス拡大のチャンス

越境ECは、新たな収益源の確保だけでなく、ブランドの海外展開にもつながります。海外での評価が高まることで、国内でのブランド価値向上にも寄与する可能性があります。将来的な海外展開の足がかりとして活用する企業も増えています。

④海外で日本製品の需要がある

日本製品は品質や安全性の高さから海外でのニーズが高い傾向にあります。化粧品、食品、日用品などは特に人気があり、中国をはじめとしたアジア圏では継続的な需要が見込まれています。

一方で、越境ECには注意すべき点もあります。異なる文化・習慣の国へ、国内向けECより大きな運用負担で販売しなければならないことがデメリットとして挙げられます。

①高額な輸送コスト

海外配送では国際送料が発生し、輸送コストが高くなる傾向があります。配送方法や地域によって費用が大きく異なり、価格設定に影響します。送料負担の設計は重要な検討ポイントです。

②販売国や地域によって対応が異なる

国ごとに関税や輸出入規制、消費税制度が異なります。販売する商品によっては規制対象となる場合もあり、事前確認が必要です。現地法令への対応が不十分だとトラブルにつながります。

③トラブルが起こりやすい

言語の違いや配送遅延、返品対応など、国内よりもトラブルが発生しやすい環境です。カスタマーサポート体制や返品ポリシーを明確にしておくことが重要です。

図表は、経済産業省による2020年時点の世界の越境EC市場規模の推計値と2027年の予測値です。その間の年平均成長率は約27%となっており、日本国内のEC市場成長率を大きく上回る成長が見込まれています。

■世界の越境EC市場規模の拡大予測
世界の越境EC市場規模の拡大予測

下の表は、日本企業からの越境ECでの国別販売先のデータです。越境ECでは世界中の国へ販売が可能ですが、特に中国、米国への進出率が高いことが分かります。今回は大きな市場があり、今後の伸びも見込まれる「アメリカ」・「中国」向けの出店について主に説明します。

BtoC-EC
市場規模('19)
単位:億 US ドル
越境 EC での海外販売先の状況(単位:%)
(1)
飲食料品
(n=93)
(2)
繊維・織物/アパレル
(n=28)
(3)
医療品・化粧品
(n=29)
中国 19,348 46.2 42.9 69.0
米国 5,869 26.9 42.9 27.6
英国 1,419 7.5 17.9 0.0
ドイツ 819 4.3 17.9 3.4
フランス 694 7.5 10.7 3.4
ロシア 269 2.2 0.0 6.9
インドネシア 210 4.3 3.6 10.3
タイ 50 5.4 3.6 10.3
ベトナム 50 6.5 0.0 10.3
UAE 2 1.1 3.6 0.0

出典:令和元年度 電子商取引に関する市場調査

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら

越境ECを成功させるためには、事前の検討と準備が欠かせません。

自社商品・サービスは越境EC向きか

商品サイズや保存条件、法規制の有無などを確認する必要があります。輸送に適した商品かどうかは重要な判断基準です。

自社商品・サービスのニーズがあるか

ターゲット国での需要調査が不可欠です。競合状況や価格帯も調査し、市場性を見極めます。

今後の販売計画を立てておく

短期的な売上だけでなく、中長期的な販売戦略を立てることが重要です。運用体制や予算計画も明確にしておきましょう。

ターゲットとなる国の市場調査・販売商品の選定

■中国の消費者が越境ECで購入している商品
中国の消費者が越境ECで購入している商品

ターゲットとする国・地域と商品を検討する手法は2つに大別されます。

1つ目は、すでに日本との越境ECが活況な国・地域をターゲットとして、市場動向や売れている商品を調査する、「マーケットイン」の方法です。ある程度の商品ラインナップを抱えている企業や商品開発力がある企業には適しているでしょう。例えば、中国では越境ECにて化粧品・美容関連商品(約41%)、トイレタリー(約38%)、健康商品(約36%)などが売れており、同様の製品ジャンルに参入するのが典型的な例です。

2つ目は、自社が扱っている商品や得意とする分野の商材が売れそうな国・地域を探すという「プロダクトアウト」の方法です。自社のラインナップが少ない場合や、強いブランド・自社製品を抱えている場合には適しています。

出典:経済産業省『令和元年度電子商取引に関する市場調査』

関税や輸出入のルールを確認する

商品を輸出販売する場合には関税がかかります。税関が公開している情報によると、一般的に時計、機械類、美術品、化粧品などは無関税ですが、飲料、衣料品、菓子類などは数%から20%超が目安です。

ただし、輸出先や原産国、品目の材質、加工の有無、用途によって関税率は大きく異なることがあるため、税関ホームページなどで正確な関税率を調べた上で十分な販売量と利益が見込めるかどうか検討する必要があります。

また、国・地域によってはそもそも当該商品の販売が法律で規制されているケースもあるので注意しましょう。例えば、タイは「スロットなどの賭博用のゲーム機とその部品」「中古車または中古のモーターバイクの車体」など13品目の輸入が禁止されています。越境ECに取り組む際は、各国の制度を正確に確認しておくことが大切です。

出典:
税関ホームページ 『主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)』
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)『輸出入に関する基本的な制度』

ECサイトの出店方法の決定

越境ECのサイト構築については、自社ECサイトを海外対応させる方法、「楽天市場」など越境ECに対応している国内プラットフォームを利用する方法、そして海外ECモールに出店する方法があります。

自社ECサイトは、システム構築・運用に初期費用やランニングコストがかかりますが、自由度が高く軌道に乗れば高い利益率を見込めるのが魅力です。

国内プラットフォームを利用する方法は、システム構築の手間がなく運用業務の大部分を代行してもらえるため手軽です。一方、手数料がかかり、出店先の国で十分な集客が見込めるか確認する必要があるなどの注意点があります。

海外ECモールは、実績あるサイトなら現地での集客力が高く、運用の手間も軽減できる点がメリットです(中国なら「天猫国際」(Tmall Global)など)。ただし、出店までの手続きに手間や時間がかかるという難点があります。

商品の配送方法を検討する

越境ECを始めるにあたっては、日本から現地に商品を配送する手段を確保する必要があります。主な方法は以下の3つです。

  • 消費者に直接配送(EMSなどが一般的)
  • 海外発送代行サービスを利用
  • 現地に物流拠点を設置

直接配送する場合や代行サービスを利用する場合は、配送にかかる料金や所要日数、返品対応などについても併せて検討しておくことが欠かせません。また、商品によってはそもそも発送が禁じられているケースもあるので注意しましょう。

ある程度の規模のECサイトを運営しているなら現地に物流拠点を置く方法もあります。特に中国では保税区(関税などの輸入にかかる税金を課されない状態で現地に保管できる倉庫)の活用が進んでおり、注文から発送までのリードタイムの短縮、一括運送による輸送コストの削減、通関手続きの安定化といったメリットが期待できます。

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら

現地の商習慣や文化、リスクをきちんと把握する

日本で売れている商品を同じように売れば成功するとは限らないため、事前に入念な調査を行い、その結果をもとに現地の事情に合わせて最適化(ローカライズ)する必要があります。

商品の仕様やパッケージ、商品表示などはもちろん、現地の人に好まれるECサイトのデザイン(UI・UX)、現地に合わせたカスタマーサポート対応(例:日本より返品やクレームが多いかもしれないので顧客対応を強化する)など、あらゆる観点からEC運用を最適化しましょう。

各種認証の取得など法的な対応や、為替変動リスク対策、政情不安リスクの洗い出しなどもしておく必要があります。

ターゲットとなる国や地域に合わせた集客施策を講じる

同じ商品でもユーザー行動や情報収集の方法は日本とは異なる可能性があります。例えば、中国では規制によりGoogle検索が使えないなど、国や地域によってはこれまで成功していた施策が通用しないケースもあるのが現実です。日本でのやり方に固執せず、出店する国によって一からマーケティング戦略を検討する必要があります。

また、ECサイト・広告用ランディングページの多言語対応や、商品の魅力を最大限訴求するための商品ページの適切な翻訳なども重要なポイントです。

ニーズの高い国際決済を導入する

ECサイトで使われている決済手段は国や地域によって異なります。現地のユーザーが普段使っている決済手段に対応していないと、かご落ち・離脱の原因になるため、ニーズの高い決済手段の導入は不可欠です。

日本で最も利用率の高いクレジットカード決済は他の各国でも高い割合で使われますが、中国ではAlipay、Alipay+やWeChat Pay、銀聯カードの利用者が多く、アメリカではデビットカードやPayPalが多く使われています。

国際決済については以下のコラムも参考にしてください。

越境ECは、海外顧客の獲得やビジネス拡大のチャンスをもたらす一方で、輸送コストや法規制、トラブル対応などの課題も伴います。成功の鍵は、事前準備と市場調査、適切な出店方法の選択、そして現地ニーズに合った決済や運用体制の整備にあります。自社の強みを活かしながら、段階的に越境ECへ取り組むことが重要です。

DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT)では、EC事業者のみなさまの海外へのチャレンジを応援しています。お気軽にご相談ください。

越境ECでかかる関税は誰が負担するのですか?

関税の負担者は販売条件によって異なります。一般的には購入者が負担するケースが多いですが、販売者が負担する場合もあります。事前に条件を明示することが重要です。

越境ECと国内ECの違いは何ですか?

通常のECは国内顧客向け販売を指しますが、越境ECは国境を越えて海外顧客へ販売するビジネスです。言語、通貨、関税、輸送方法などの対応が必要になる点が大きな違いです。

公開日 2019/01/29

      
汎用vol.2
      

ビジネスの成長を
DGフィナンシャルテクノロジーが
お手伝いします

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
スタッフがさらに詳しくご説明します。