ECアプリとは?メリット・デメリットや導入のポイントを解説

2020/09/09

ECアプリとは?メリット・デメリットや導入のポイントを解説
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ECアプリとは、ECサイトをアプリ化することでプッシュ通知や実店舗での会員証機能、スマートフォンのカメラや位置情報との連携など、Webブラウザ上では実現できない高い機能性を備えることができます。

近年のスマートフォン利用率やスマートフォン経由でのEC利用率の上昇に合わせて、各社からECアプリが次々と登場し、利用者数も増えています。ECアプリは、ホーム画面のアイコンをタップすれば簡単にアクセスできる、ECサイトよりも軽快に動作する、実店舗において会員証やポイントカード代わりになるといった高い利便性を備えているのが特徴です。

■インターネットの端末別利用状況(個人)

インターネットの端末別利用状況(個人)

出典:総務省『平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

国内のEC売上高で圧倒的なシェアを誇る楽天やAmazon、アパレルECにおいて確固たる地位を築いているZOZOTOWNといったECモールのアプリの利用率は高い水準を保っています。

モール出店→自社ECサイトへの移行というトレンド

これまでECモールに出店していた企業が、自前のECサイトを構築し移行するケースも増えてきています。

この背景には、大手ECモールが順調に成長する中で自社製品が埋没してしまうリスクや、モールと自社の間での販売ポリシーの不一致などがあるようです。また、ECモールへの出店には手数料がかかるため、コスト負担に対して課題を抱えているブランドも多いと言われています。

実際、オンワード樫山やミキハウス、ライトオンなどは一時ZOZOTOWNから撤退し、ワークマンやディズニーストア、カルディは楽天市場から撤退しました。大手モールに復帰する動きも一部では見られますが、モールを離れて自社での直販に力を入れる動きは依然として続いており、同時にECアプリをリリースする事例も見られます。

ECアプリを制作する方法は、大きく分けて2種類です。ここではそれぞれの特徴とメリット、デメリットを紹介します。

ネイティブアプリ

自社専用のスマートフォンアプリ(ネイティブアプリ)は、ユーザーにダウンロードさせる形式なので、通常のECサイトよりも継続的かつ高頻度での利用が見込めます。

ネイティブアプリの制作方法には、一からアプリを構築する「フルスクラッチ」と、Yappli(ヤプリ)やbetrend(ビートレンド)などの「ASPサービス」を利用する方法の2種類あります。フルスクラッチは自由度が高い一方、制作期間が長くコストも膨らみやすいのがデメリットです。ASPサービスは比較的安価に導入でき、プッシュ通知などのCRM機能が標準装備されているものの、カスタマイズには限度があることが難点です。

■Yappli(ヤプリ)
Yappli(ヤプリ)
■betrend(ビートレンド)
betrend(ビートレンド)

利用者はApp StoreやGoogle Playといったアプリストア経由でアプリをダウンロードします。アプリを配信する際はアプリストア側による審査があり手数料も発生しますが、これまでWebサイトやモールだけではアプローチできなかった顧客層にまでブランド認知を拡大する効果も期待できます。

ネイティブアプリの特徴は、スマートフォンのプッシュ通知や位置情報、カメラ機能などとの連携ができることです。ブランド戦略や顧客のニーズに合わせて自由に設計でき、大量の行動データも収集できます。一方で、開発やメンテナンスにコストがかかるのがデメリットです。

PWA(プログレッシブWebアプリ)

PWAとは「プログレッシブWebアプリ」の略です。HTML、CSS、JavaScriptによるコーディングだけで、既存のモバイル向けECサイトをアプリのように機能させることができます。

キャッシュ機能によってオフラインでも閲覧ができ、軽快に動作するほか、ネイティブアプリに比べ通信量やデータ容量が少なくすむため利用者にはストレスがかかりません。また、ユーザーに知らせたい情報を送信するプッシュ通知が利用できます。アプリストアに登録してダウンロードしてもらう必要がなく、OSごとの最適化も不要なため、低コストで簡単に導入が可能です。
基本的な利用方法として、利用者にはまず既存のECサイトにアクセスしてもらい、ホーム画面にアイコンを登録してもらう必要があります。機能性や設計の自由度はネイティブアプリには劣ります。

ECアプリを導入すれば、利用者の囲い込みや販促、快適な顧客体験、データ収集などさまざまな効果が期待できます。

利用時間や利用頻度の向上が見込める

ユーザーがWebサイトにアクセスするにはブラウザを立ち上げなければなりません。一方、ECアプリの場合、ホーム画面上のアイコンをタップすればアプリが立ち上がるので、スムーズにアクセスできます。

モバイルサイトは応答速度が遅いなど使い勝手が悪いと離脱率が高くなる傾向にあります。

ECをアプリ化することでサクサクと軽快に動く仕様にして、さらに利便性の高い機能も盛り込めば、滞在時間の伸びやアクセス回数の増加による収益アップが見込めるのです。

プッシュ通知によって効果的な販促が可能になる

プッシュ通知はメルマガよりも高い開封率を誇り、アプリ化の大きなメリットといえるでしょう。新商品の情報や、お気に入り商品の再入荷、クーポンといったユーザーにとって有益な情報をタイムリーに届けることができます。

また、会員情報や購買情報、位置情報といったデータを元に顧客層を絞り込むことも可能です。ECアプリを活用すれば、顧客一人ひとりに合わせた効果的な販促(CRM:顧客関係管理)にも役立ちます。

複数チャネルにおけるシームレスな顧客体験を提供できる

実店舗とECの双方を持つ企業も増えてきている中、複数のチャネルを生かして顧客に快適な購買体験を提供することが課題となりつつあります。ECアプリは、実店舗を持つブランドのオムニチャネル施策と相性が良いのも魅力です。

例えば、顔認識やAR(拡張現実)技術を活用すれば、スマートフォンのカメラで撮った自分の写真に気になる服や帽子などを合わせる試着体験を提供できます。あるいは、店舗やWebサイト、カタログ上にあるQRコードをアプリで読み込むことで詳細な商品情報を表示し、そのままEC上で注文できたり、お得なクーポンや限定グッズを獲得したりといった機能も実現可能です。

より詳細な利用データを収集できる

実店舗では会員カードを使い、ECサイトでは別途アカウントを登録するというケースでは、双方のデータが連携されていないために個別の顧客の動向が追えないという課題があります。

しかしECアプリであれば、実店舗ではアプリそのものが会員カード代わりになり、ECはアプリ内で完結するため、両方のチャネルの顧客情報を一元管理することが容易になります。その結果、ECでの購買情報はもちろん、実店舗での購買情報や位置情報など、より詳細な行動データを収集できるようになるのです。

開発コストがかかる

一から自社アプリを作ろうとすると開発コストが膨らみます。また、OSに合わせて設計を最適化する対応が必要なのに加えて、アプリのリリース後も継続的に更新作業を行ったり、アップデートしたりする費用も発生します。

ただし、最近増えてきたアプリASPやパッケージソフトを利用すれば、開発コストはある程度抑えることができます。アップデートもASP側が行うため、ランニングコストの負担も軽減されるでしょう。

ダウンロードしてもらえなければ意味がない

費用や時間をかけてECアプリを開発してリリースしても、アプリを利用してもらえなければ意味がありません。アプリをインストールしてもらうためには、大前提としてブランドそのものの認知が必要です。

さらに、認知がある場合でも、既存のECサイトや実店舗などからアプリをダウンロードしてもらうための導線設計やプロモーション施策も必要になります。

また、アプリのダウンロード後は、積極的に利用してもらうための施策が欠かせません。継続的に利用してもらうためには、高い利便性に加えて、魅力的かつ嫌がられない販促が求められます。

ECアプリの導入を検討する際は、導入事例を知ることが効果的です。ここでは小売店とオンラインマーケットの例を紹介します。

ニトリ

ニトリ公式スマートフォンアプリは、会員証、在庫検索、ECといった豊富な機能を搭載しています。例えば、店頭で見つけた商品をカートに入れて自宅に配送する「手ぶらdeショッピング」や、カメラで撮影した家具の写真から類似商品を探せる「カメラdeサーチ」という画像検索機能などが特徴的です。

このように、ニトリではネイティブアプリの高機能性を存分に活かして、EC機能のみならず効果的なオムニチャネル施策を実現しています。

ニトリ

アリババ

世界最大級のBtoBオンラインマーケット「alibaba.com」を展開するアリババでは、ECサイトの利用客をネイティブアプリへ移行させる計画がありました。しかし、より優れた顧客体験を提供することが難しく、アプリを導入しても既存のECサイトを選択する顧客が多いという課題がありました。

そこで、高速性と利便性を実現するためにPWAを実装。iOSで月間アクティブユーザーが14%増加、Androidでは30%増加、プッシュ通知の開封率はネイティブアプリと同程度という成果を上げています。

アリババ

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顧客情報の一元化

ECアプリを導入する際は、顧客情報を一元化することで、実店舗やECサイトの垣根を越えた購買体験を実現することが重要です。

ECサイトや実店舗の会員証・ポイントカードなどを一つのアカウントで管理できれば、顧客は決済のたびにクレジットカード情報を入力したり、店頭でクレジットカードやポイントカードを提示する必要はありません。ECでのカゴ落ち防止にもつながります。アカウントが単一であれば貯まったポイントを効率的に利用できるため、顧客満足度も向上します。

事業者側にとっては、管理コストが減る点もメリットです。また、顧客ごとにさまざまなチャネルにおける行動データが豊富に蓄積されるので、一人ひとりに合った効果的な販促が可能になります。

決済手段の充実

ECアプリの利便性を高めて顧客満足度を最大化するには、顧客が希望する決済方法に対応して購買体験のストレスを減らすことが重要です。

アプリ内の決済手段としては、オンラインでの利用率が最も高いクレジットカードの導入が必須と言えます。また、スマートフォンとの親和性が高いキャリア決済や、IDとパスワードだけで決済が完了するPayPay、LINE Pay、楽天ペイをはじめとするID決済も便利です。その他、ワンタッチで決済が完了するApple Pay、Google Payといった決済手段をそろえておくとユーザーの利便性が大きくアップします。

さらに、会員IDと決済情報を紐づける機能はECと実店舗を持つ企業にとっては押さえておきたい機能です。この機能があれば、ECサイトやアプリでログインしたり、店舗でアプリ画面を提示したりするだけで、事前登録した方法でスムーズに決済できるようになります。

DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)は、ECアプリに最適な決済手段を提供しています。また、オムニチャネル決済サービス「オムニPAY」は、店舗やオンラインでの決済情報を一元化することで、販促、顧客満足度強化、運用負荷軽減の実現をサポート。ECアプリの構築を検討している事業者様は、ぜひ一度問い合わせください。

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