更新日|2026/02/27
ライブコマースとは、リアルタイムの動画配信によってECサイトでの購入を促す手法です。配信者側は、動画配信サービスやSNSなどを通して視聴者に商品を紹介し、商品の購入ページへのリンクをライブ配信画面に設けてリンクに誘導することで購入を促します。
ライブコマースはBtoC EC業界における近年の重要なトレンドの一つで、2025年には、日本でもTikTok上で商品閲覧から決済までを一気通貫で行える「TikTok Shop」が上陸するなど、盛り上がりを見せており、今後も市場規模の拡大が見込まれます。
この記事の目次
ライブコマースの市場規模
ライブコマース市場は、今後も高い成長が予測されています。
株式会社グローバルインフォメーションの市場調査では、2024年の市場規模を約1,284億米ドル(約17兆円以上)と推定し、2025〜2033年にも高い成長率(CAGR約40%)で拡大すると予測しています。
地域別ではアジア太平洋が世界市場の約66%を占める最大のシェアを持ち、中国・韓国・東南アジアを中心に成長しているといわれています。
ライブコマースと相性が良く、販売されることの多い商材としては、食料品、衣料品、化粧品・美容関連製品、日用品、スポーツ用品、家電などが挙げられます。
ライブコマースは日本でも拡大中
日本ではライブコマースはまだ黎明期と捉えられているものの、着実な伸びを見せているといわれています。
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が2023年に「ライブコマース」に関する調査を実施した結果によると、「ライブコマース」認知者は31.9%となりましたが、購入経験率でみると、ライブコマース視聴者のうち、54.8%のユーザーが購入に至ったという結果がでています。
【図1】 ライブコマース認知度<SA>
(対象:全員)
出典:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 『「ライブコマース」に関する調査結果』2023/02/28 より引用
このことから、ライブコマース自体の普及率はまだ低いものの、売上に直結する効果的な販売手法であることは間違いありません。
ライブコマースを活用するメリット
実店舗のような双方向コミュニケーションが取れる
ライブコマースでは、単なる動画での商品紹介だけにとどまらず、視聴者からリアルタイムでコメントをもらって返答する、という実店舗での接客のようなコミュケーションを取ることが可能です。これにより、写真や文章だけでは伝えにくい商品の魅力や使い方を詳しく伝えられるとともに、ユーザーの疑問にその場で答えることで、悩み・不安を解消して購買意欲を促進する効果が見込めます。
新しい顧客層を開拓できる
ライブコマースは、自社のサイトやSNSアカウントで社員が行う方法もありますが、影響力のあるインフルエンサーとコラボレーションすることで、これまでと違った顧客層を開拓できます。自社商品との親和性が高く、フォロワーを多く抱えるインフルエンサーのSNSアカウントでライブ配信すれば、一度の配信で多くの顧客にアプローチすることが可能です。
特に若年層など、SNSで商品ブランドの情報を検索する顧客層にとっては、ライブコマースに参加するのは実店舗に足を運ぶのに比べてハードルが低く、スムーズに集客が見込めるでしょう。
マーケティングに生かせる
ライブコマースでは商品に対する視聴者からの要望をダイレクトに抽出できるため、その後の商品開発やマーケティング戦略の参考にすることも可能です。配信者側は視聴者と直接対面するわけではないため、表情や仕草までは確認できませんが、視聴数やコメントなどのリアクションから、興味関心の強さやニーズを推し量ることができます。
また、「そのライブ配信を何人が視聴して、そこからどのくらい商品ページにアクセスしたか」「視聴者のうち何人あるいは何パーセントが購入に至ったか」などのデータを詳細に分析できるため、定量的なデータを得やすい点も特徴です。
ライブコマースで利用できるサービス
■YouTube(ユーチューブ)
YouTubeでは、動画フィードやチャットなどを利用して、視聴者とリアルタイムで交流できるライブ配信機能が用意されています。概要欄に商品購入リンクを貼ることでライブコマースにつなげることも可能です。
ライブ配信動画はアーカイブとして残すことも可能で、その後も長く販売用コンテンツとして活用する道もあります。
ライブ配信機能の利用時は、チャンネルの確認(電話番号によるアカウント認証)をした上で、YouTubeの「コミュニティ ガイドライン」と「利用規約」を遵守した配信内容にしなければなりません。
出典:Google LLC『ライブ配信を始める - パソコン - YouTube ヘルプ』
■Instagram(インスタグラム)
Instagramには「インスタライブ」というライブ配信機能が実装されています。こちらもアーカイブ可能で、ライブ動画の保存期間は30日間です。
インスタライブでは、動画配信画面の下部に「商品を見る」ボタンを設置して、動画内で紹介している商品の紹介ページ「Instagramショップ」に誘導できます(アプリでの利用時のみ)。
また、Instagramではアカウント概要欄の下部に「ショップを見る」ボタンを設置して、Instagramショップに誘導することができます。
日本ではInstagramショップにおいてチェックアウト(決済)機能は使えないため、ECサイトへのリンクを貼らなければなりません。
また禁止商材もあるため、注意しましょう。
出典:Instagram ヘルプセンター Instagramショッピングについて
■TikTok Shop(ティックトックショップ)
TikTok Shopとは、2025年6月から開始されたTikTokアプリ内で商品の販売から購入が可能となるEC機能です。
ショート動画やライブ配信で紹介された商品を、外部サイトへ遷移することなく、そのままTikTok上で購入できる点が特徴です。
日本では、TikTokの月間アクティブユーザー数が数千万人規模にのぼるとされており、若年層を中心に高い利用率を誇っています。
こうしたユーザー基盤を背景に、TikTok Shopは「動画視聴から購買までをシームレスにつなぐ新たなコマースチャネル」として注目されています。
特にライブ配信と組み合わせることで、配信中の商品説明や視聴者とのコミュニケーションを通じて購買を促進できるため、ライブコマースの進化形の一つとして位置づけられます。
一方で、日本市場では導入が始まったばかりの段階であり、今後は活用事例や運用ノウハウの蓄積とともに、どのように定着していくかが注目されています。
出典:TikTok Shop Japan『TikTok Shopを日本で提供開始!』
■SHOWROOM(ショールーム)
ライブ配信サービスのSHOWROOMでは、ライブ配信中に商品購入できる「SHOPROOM」というライブショッピング機能を提供しています。
コメントで商品についてリアルタイムで質問しながら、応援している配信者のおすすめ商品を購入できるだけでなく、配信者の欲しい商品をユーザーがプレゼントできるギフト機能もあり、配信を通じてさまざまなコミュニケーションができる点が特徴です。
出典:SHOWROOM株式会社『ライブ×ショッピング SHOPROOMスタート!』
■HandsUP(ハンズアップ)
「HandsUP」はライブ配信プラットフォーム「17LIVE」が提供するライブコマースツールです。ECショップ構築機能を実装しており、クーポンなどの販促機能と併せてワンストップでライブコマースを実現できるという特徴があります。また、操作性が高いため簡単にカスタマイズが可能な点も魅力です。
ライブコマースを活用する際の注意点
ライブコマースは購買促進や顧客理解に有効な一方、運用設計を誤ると成果につながりにくい施策でもあります。導入前にデメリットや注意点を理解し、自社に合った活用方法を検討することが重要です。
運用コスト・工数がかかる
ライブコマースは、配信するだけで成果が出る施策ではありません。配信者の選定、台本作成、配信環境の準備、当日の運営対応など、一定の人的リソースと工数が発生します。特に継続的に実施する場合、担当者の負担が大きくなりやすく、属人的な運用に陥るリスクもあります。事前に社内体制や外部パートナーの活用可否を整理し、無理のない運用計画を立てることが重要です。
視聴数と売上が必ずしも比例しない
ライブコマースでは、多くの視聴者を集めても、必ずしも売上につながるとは限りません。購入導線が分かりにくい、決済までの手続きが煩雑といった理由で、購買機会を逃してしまうケースもあります。ライブ配信中だけでなく、配信後のフォロー施策も含めて、視聴から購入までの流れを明確に設計することが成果を左右するポイントとなります。
成果が属人的になりやすい
ライブ配信の成果は、配信者の話し方やキャラクター、商品理解度によって大きく左右される傾向があります。そのため、特定の配信者に依存した運用になると、再現性の確保が難しくなります。ブランドとして伝えたいメッセージやトーンを整理し、誰が配信しても一定の品質を保てる仕組みづくりが求められます。
トラブル・炎上リスクへの備えが必要
ライブコマースはリアルタイム配信であるため、不適切な発言や誤解を招く表現がそのまま拡散されるリスクがあります。また、通信障害やシステムトラブルなど、想定外の事態が発生する可能性もあります。事前に配信ルールやガイドラインを定め、トラブル発生時の対応フローを明確にしておくことが、安心して運用するための前提条件となります。
ライブコマースを成功させるポイント
スムーズに購入・決済できる仕組みを導入する
ライブコマースでは、リアルタイム配信ならではの臨場感を生かし、顧客の購買意欲や熱量が高まっている状態でそのままスムーズに購入・決済を促すシステムの導入が不可欠です。ライブコマースサービス内でショップを構築できない場合は、ECサイトへの分かりやすい導線を確保することが大切といえます。
ライブ配信によって商品の魅力は伝わり、購買意欲を高めることには成功しても、購入・決済の導線がスムーズでなければ購入には至らず離脱の原因になってしまいます。
特に決済については、利用者に合った決済手段を用意するのがポイントです。オンライン決済で最も利用率の高いクレジットカード決済はもちろん、ライブコマースを良く利用する若年層を取り込むために、キャリア決済やID決済、コンビニ決済など幅広い方法に対応するのがおすすめといえます。
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予期せぬトラブルへの対策
ライブ配信では、「ネット接続が切断された」「音声が聞こえにくい」「照明が暗い」といったトラブルは成果に大きな悪影響を及ぼします。事前にテストして環境を整えるとともに、トラブルへの対応についても細かく検討しておきましょう。
また、ライブ配信中に説明の誤りや不足があった場合は待機している別のスタッフがテロップなどで補足したり、不適切なコメントが投稿されたときは非表示にしたりするといった対策も必要です。
このような二重、三重の対策を行っておくことで、配信者側・視聴者側の安心感につながり、ライブ配信をスムーズに進めることができるでしょう。
配信者との事前の打ち合わせの徹底
特に、インフルエンサーなど外部の配信者とライブコマースを行う際は、事前に流れやマニュアルなどを共有し、商品について伝えるべきことや注意点などをすり合わせておく必要があります。
商品説明は、誇大広告や不適切な説明にならないよう注意が必要です。特に化粧品や健康食品の広告については薬機法で細かいルールが定められています。ルールに抵触しないように表現に関する禁止事項をレギュレーションとして設定しておきましょう。
表現上のミスを防ぎ伝え方の精度を高めるためにも、可能であれば入念にリハーサルを行っておきたいところです。
ライブ配信後のフォローアップ
ライブ配信中の説明の不備や、対応しきれなかったコメントなどがあった場合は、後日SNSや商品説明ページなどで補足説明しておくことも大切です。
また、ライブ配信をアーカイブしてSNSで後日投稿したり、コメントで質問を募って後から回答したりすることで、顧客との長期的な関係構築につながり、継続的に集客・購入といった効果も期待できるでしょう。
ライブコマースの成功事例
LOWYA(ロウヤ)
家具・インテリアのECを手掛けるLOWYA(ロウヤ)は、インスタライブで商品の魅力や具体的な使い方を紹介しています。ライブの特性を生かし、写真だけではわからない商品の質感や肌触りなどを細かく解説している他、コメントや質問も丁寧に読み上げながら対応しているのが特徴です。
ライブ配信にはInstagramを使っており、視聴者からの質問は、事前にInstagramストーリーズの質問スタンプで集める方法と、ライブ配信中に届いたコメントをピックアップして回答する方法の2種類を使っているとのことです。
ライブ配信後には、紹介した商品のまとめをフィードで投稿してショッピングタグを付けて、LOWYAのECサイトにジャンプできるようになっています。
ユニクロ(GU)
ユニクロ(GU)は、アパレル分野においてライブ配信を活用したコーディネート提案や商品紹介を積極的に行っています。
店舗スタッフやスタイリストが出演し、実際に商品を着用しながらサイズ感や着回しのポイントを紹介することで、ECでは伝わりにくい情報を補完しています。
特にGUのライブ配信では、「自分が着たときのイメージが湧きやすい」構成が評価されており、視聴者の検討を後押しする役割を果たしています。
ライブ配信後にはアーカイブ動画や関連商品ページへの導線を設けることで、配信後の購買にもつなげており、ライブ配信を起点とした継続的なEC活用が進んでいます。
資生堂
資生堂は、化粧品という「実際の使い方や仕上がりのイメージが重要な商材特性」を生かし、ライブ配信を活用した情報提供型のライブコマースを展開しています。
美容部員や専門スタッフが出演し、商品の使い方やスキンケアの手順、肌悩みに応じた選び方などをリアルタイムで解説することで、視聴者の疑問をその場で解消できる点が特長です。
ライブ配信では、視聴者から寄せられる質問に丁寧に回答することで信頼感を高め、購入前の不安を軽減。
その結果、単なる即時販売にとどまらず、ブランド理解の深化やECでの検討促進につながる施策として機能しています。
日本市場においても、ライブコマースを「売る場」ではなく「納得して選んでもらう場」として活用している好例といえます。
ECサイトへの導線確保に加えて活用したいメールリンク型決済
メールリンク決済とは、ユーザーにメールやSNSで案内したURLを通じて、オンラインで支払いが完了するサービスです。メールやSNS、チャット機能などで決済用のURLをユーザーに送付することで支払い方法を案内します。その後、ユーザーが決済用URLを押下すると決済代行会社の決済画面に直接遷移し、決済に必要な情報を入力することでオンライン決済が完了します。
■メールリンク決済での支払いの流れ
メールリンク決済では、Webサイトを構築しなくてもオンライン決済を実現できるため、スピーディーにオンライン決済を導入したい事業者にもおすすめです。
また、SNSのダイレクトメッセージやチャット機能上で決済URLの案内が可能なため、SNSを使ったライブコマースでシームレスな決済を実現できる点が魅力といえます。
まとめ
ライブコマースは、配信中の購入導線設計だけでなく、配信後のフォローや購入機会の創出まで含めて設計することで、より大きな成果につながります。
特に、視聴中に購入に至らなかった顧客に対して、後日あらためて購入機会を提供できる点は、ライブコマースを継続的な施策として活用するうえで重要なポイントです。
DGFTでは、メールリンク決済のように、配信後でもスムーズに購入・決済できる仕組みを組み合わせることで、ライブ配信を「その場限りの施策」に終わらせず、販売機会の最大化と顧客体験の向上を両立させることが可能です。
またDGグループでは、「TikTok Shop」への出店支援および運用代行サービスの提供や、ECサイトやライブ配信と連動した導線設計・マーケティング運用の支援、さらには受注後のオペレーションや顧客対応を見据えた運用設計まで、ライブコマースを起点とした一連の購買体験をトータルで支援しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
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