ユニファイドコマースとは?メリットや事例、導入方法を解説

2022/03/14

ユニファイドコマースとは?メリットや事例、導入方法を解説

ユニファイドコマースは、顧客との複数の接点を結びつけて考えるマーケティングの新しい概念です。事業者がユニファイドコマースに取り組むことで、顧客の購買体験の向上や、事業者側の業務効率アップや収益機会の増加などが期待できます。

本コラムでは、ユニファイドコマースの考え方やメリットを紹介した上で、導入事例や導入する際に意識すべきポイントを解説します。

この記事の目次

ユニファイドコマース(Unified Commerce)とは、「統合された商取引」を指します。顧客との接点(チャネル)には、ECサイトや実店舗、SNS、メールなどさまざまな種類がありますが、それらの施策やデータを別々に管理するのではなく、各チャネルの顧客データを統合し、一人ひとりのニーズをより正確に分析・把握して最適化された顧客(個客)マーケティングの実現を目指す考え方です。

■オムニチャネルやOMOとの違い
オムニチャネル

オムニチャネルとは、実店舗やECサイトなどの複数のチャネルをシームレスにつなぐことで、顧客にとってストレスのないスムーズな体験を提供しつつ、同時にチャネル横断的に顧客にアプローチする手法を指します。統合手法やデリバリー(供給)体制とセットで語られることが多く、提供者である企業目線のマーケティング戦略を指す用語です。

OMO(Online Merges with Offline)

OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの境界を取り払い、テクノロジーによって顧客や周辺環境の状況までを細かく捕捉することで顧客体験を向上させるという、顧客視点でのマーケティングの概念を指します。

近年は、実店舗にいながら手元のスマートフォンで商品情報を検索したり、あるいは朝に自宅のPCで注文した商品を夕方に近所のコンビニで受け取ったりと、顧客にとってオンラインとオフラインの垣根が曖昧になりつつあります。そのような中、「OMO」はオンラインとオフラインを融合して顧客の購買体験を高めるという重要なコンセプトとして注目されているのです。

オムニチャネルとOMOは、いずれも顧客データを統合的に管理してオンラインとオフラインの垣根を取り払うことで、優れた顧客体験を提供することを目指す考え方です。

一方、ユニファイドコマースでは単に購買情報だけでなく、受注管理、在庫管理、顧客関係管理(CRM)、物流管理、決済管理などチャネルごとのバックエンドシステムを統合して提供体制を整えると同時に、より幅広いデータを収集して顧客ごとに最適化されたOne to Oneマーケティングを志向するという点が大きな特徴と言えます。

顧客満足度と売上の向上

バックエンドシステムの統合と統合されたデータを上手く活用すれば、「これまでの購買情報をもとに、顧客が興味がありそうな商品をアプリでレコメンドすることで、顧客にECサイトで商品を閲覧してもらう」ということも可能です。

その上で、顧客が実物を見て購入を検討したい場合は、

  1. 在庫がある店舗を提示して来店を促す
  2. 店舗ではアプリを提示してもらいECサイトで貯めたポイントを利用
  3. ECサイトの会員登録時に登録したクレジットカードで決済してもらう

といった横断的な購買体験も提供できます。

上質な顧客体験を提供できれば、売上アップやファン化によるリピートを促すことが可能です。近年EC化促進に注力しているファーストリテイリング社の資料によると、「店舗とECサイトの両販売チャネルを併用する顧客」は、「ECサイトのみ利用」あるいは「店舗のみ利用」の顧客と比較して、購入金額および回数ともに高い傾向にあるとされています。

出典:株式会社ファーストリテイリング『2019年8月期 期末決算資料「ECを本業に。」

業務効率化・システム管理コストの削減

顧客管理、在庫管理、物流管理、決済・入金管理など各業務や各チャネルで異なるシステムを使っていると、データを都度出力して連携する必要が生じるので手間がかかったり、入力ミスや確認漏れによるトラブルが発生しやすかったりするという問題があります。

また、使用しているシステムの数が多いほど、利用や保守・改修にかかる費用はかさみ、ベンダーへの問い合わせの手間も増えることも難点です。

ユニファイドコマースの取り組みによって各システムを統合すれば、業務効率化や管理コストの削減につながります。

迅速かつ適切な経営判断が可能になる

データが統合されていれば、ECサイトや実店舗などチャネルごとの顧客データではなく、各顧客のチャネル横断的な行動データを把握することが可能になり、全社的に売上を最大化する戦略の立案や、最適な在庫の確保などが可能になります。

チャネルごとにデータを抽出して突き合わせて分析するといった手間もないので、スピーディな経営判断が可能です。

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ベイクルーズ

ベイクルーズでは以前からチャネルごとのデータ統合を進めてオムニチャネル展開を推進してきましたが、近年は一歩進んでユニファイドコマースに注力しています。ブランドを横断した戦略を全社的に進めることで、実店舗とECを併用する顧客の割合や購入単価の向上を実現しました。

出典:PR TIMES『ベイクルーズグループ、ECでの売上高が500億円を突破!』

TSIホールディングス

ナノユニバースなど多数のアパレルブランドを展開するTSIホールディングスでは、在庫管理などデータ統合や、ECサイトやアプリ、実店舗などによるオムニチャネル展開を進めてきました。

さらに最近では、「ユニファイドコマース戦略」として、ECサイトから実店舗での試着予約や、接客スタッフを指名できるサービスの導入を開始しています。

また、「スタッフコマース戦略」として、実店舗のスタッフがオンラインでも活躍する仕組み作りも進めています。具体的には直営ECサイトにおいて店舗スタッフが品物の着用感のレビューやコーディネート写真などを投稿し、顧客のファッション選びに役立つコンテンツを発信しています。

出典:TSIホールディングス『中期改革プロジェクト』

ユニファイドコマースで必要なのは、データの統合と、収集されたデータに基づく顧客ごとに最適化された提案です。顧客の行動・購買状況に応じて個別に商品やキャンペーンをおすすめする「パーソナライズドレコメンド」を事業者側が高いレベルで実現するには、データを統合的に収集・分析するためのシステム・人員などの体制整備だけでなく、顧客にとっての利便性や購買の面白さといった価値の追求も忘れてはなりません。

業務効率化やマーケティング戦略の最適化など事業者側のメリットだけでなく、顧客満足度の向上を意識した仕組みを構築するのが重要です。

DGフィナンシャルテクノロジー(旧:ベリトランス)では、顧客情報と決済情報を紐づけることで、ECサイトや実店舗など異なるチャネル間でスムーズな決済を実現するサービス「オムニPAY」を提供しています。シームレスな購買体験を提供できるので顧客の利便性アップと満足度向上につながるほか、顧客情報にEC・実店舗での購買情報を紐づけることが可能なため、効率的なマーケティングが可能となります。

また、グループ会社のナビプラスが提供する、パーソナライズ化を支援するECサイト向けレコメンドエンジン「NaviPlusレコメンド」をはじめ、デジタルガレージグループとしてECサイトのマーケティング支援も行っています。サービスの詳細についてはぜひお問い合わせください。

      
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