VeriTrans4G活用事例
「手ぶら」で広がる決済体験ー日立製作所と東武鉄道が進める「生体認証サービス」を支えるDGFTの決済ソリューションー
スマホも財布も出さず、指をかざすだけで決済が完了。そんな未来のような決済体験がスーパーや飲食店、宿泊施設など、私たちの生活の中に広がりを見せています。
日立製作所と東武鉄道が共同展開する指静脈認証による生体認証サービス「SAKULaLa(サクララ)」は、2024年4月に東武ストア3店舗に先行導入後、東京ソラマチ®︎や埼玉県・越谷、川越エリアの飲食店に導入が進んでいます。
この「SAKULaLa」の決済基盤として活用されているのが、DGFTのマルチ決済サービス「VeriTrans4G(ベリトランスフォージー)」です。
今回は生体認証サービス「SAKULaLa」を共同で提供する日立製作所と、東武グループ施設での導入を推進する東武鉄道のご担当者様に「SAKULaLa」スタートの背景、DGFTの採用理由やマルチ決済サービス「VeriTrans4G」の活用方法について伺いました。
VeriTrans4Gの活用方法
- ・指静脈情報とクレジットカード情報をセキュアに紐づける決済基盤として活用
- ・指による生体認証と連動し、リアルタイムでクレジットカード決済処理を実行
- ・年齢確認などの外部サービスと同時連携可能なトランザクション処理を実現
[お話を伺った方] ※役職等は2025年7月時点
株式会社日立製作所(中央・右)
AI&ソフトウェアサービスビジネスユニット
マネージド&プラットフォームサービス事業部
デジタルアイデンティティ本部 主任技師
清藤 大介様
東武鉄道株式会社 (中央・左)
経営企画本部 課長補佐
安齋 秀隆様
株式会社DGフィナンシャルテクノロジー(右)
営業本部 関西営業部 シニアセールススペシャリスト
田中 大輔
株式会社DGフィナンシャルテクノロジー(左)
営業本部 オンラインパートナー推進部
宋 明植
生体認証サービス「SAKULaLa」スタートの背景
「SAKULaLa」とは
カードやスマホなどを用いることなく、デジタル空間上に保存されている個人の属性情報(デジタルアイデンティティ)に、生体認証を活用して安全にアクセスすることで、業種を横断して、決済、ポイント付与、本人確認などをワンストップで実現するサービス。
スーパーなどのレジで商品を読み取り、利用者は決済画面で端末に指をかざすと、「サクララ♪」という決済音とともに購入が完了。静脈情報とクレジットカード情報登録の紐づけを1度済ませておけば、以降はずっと財布やスマホを取り出す手間もない、スムーズな買い物体験が可能になる。

川越の老舗和菓子店株式会社龜屋でのSAKULaLa決済。金額を確認し、指をかざすだけで決済が完了。
清藤様:人の身体的な特徴を利用して本人確認をする決済方法は「生体認証決済」と呼ばれます。認証の主な方法として、「指紋認証」や「顔認証」のほか、指の静脈を読み取る「指静脈認証」があります。
「SAKULaLa」で活用している「指静脈認証」は、日立製作所が20年以上研究・開発をしてきたソリューションです。指の内部にある静脈パターンを読み取るため、外的な影響を受けにくく、精度の高い個人識別が可能です。
これまで、PCログインや勤怠管理など高度なセキュリティを要するB2B領域を中心に展開してきましたが、この技術をB2C向けにも活用できないかと思い、構想を始めました。
安齋様:当社は鉄道事業だけでなく、不動産、流通、レジャー、ホテルなど社会インフラを幅広く担ってきたこともあり、生体認証サービスの導入は「次の一手」として自然な選択でした。
鉄道も紙の切符から磁気券、ICカードへと進化し、次は生体認証を活用したプラットフォームが出てくるのではと思っていた矢先に、日立さんからお声がけをいただきました。
DGFT提携の決め手
生体認証決済の豊富なノウハウと堅牢なセキュリティ基盤
清藤様:「SAKULaLa」の構想初期において、最大の課題は「情報をどのように安全かつスムーズに取り扱うか」という点でした。生体認証という極めてデリケートな情報を扱うにあたっては、カード情報・生体データをはじめとする個人情報のすべてを統合して処理する必要がある一方、我々としては、そうした情報を一手に預かる「情報管理の主体」になることには慎重になっていました。
また、生体認証決済に加えてポイント連携や外部サービスとの連携など、複数サービスと同時に連携を想定していたため、個別連携では運用負荷やトラブルリスクが高くなる恐れがありました。
そこで、生体認証決済の導入・運用における豊富な実績と堅牢なセキュリティ基盤を持つDGFTにお声がけをしました。決済基盤の提供にとどまらず、UI/UX設計、利用規約の作成、同意取得の手法、利用者への情報伝達の仕方など、制度設計に関わる幅広い側面においても実践的なアドバイスも提供いただきました。
生体認証決済のメリットと効果
酒類の購入も指をかざすだけ。店員を呼び出さず省人化も実現
安齋様:導入第1号となった食品スーパーの東武ストアでは、顧客体験と業務効率の両面で成果が現れています。
スマホや財布を取り出すことなく買い物ができるという便利さから、以前ならコンビニで済ませていた小さな買い物も東武ストアに来店する方が増えました。
最初に導入した越谷店での実績では、「SAKULaLa」への登録者は未登録者と比較して店舗利用頻度が30%、買い物利用金額が25%向上したというデータが出ています。
また業務効率の面では、生体情報と本人確認情報を事前に紐づけることで、指をかざすだけで年齢確認が可能となり、酒類購入時でもセルフレジで店員を呼ぶ必要がなくなり、省人化にも寄与しています。

事前登録により年齢確認が済んでいるため、お酒も指をかざすだけで購入が可能。
清藤様:90代の方が登録してくださっていますが、スマホが苦手な高齢の方や、身体の一部にハンディキャップをお持ちの方、お子様連れの親御さんからも「指だけで買い物できて便利になった」といった声をいただいており、生活をより便利にするお手伝いができていることに、大きな意義を感じています。
安齋様:2025年7月現在、「SAKULaLa」は8,000名以上の登録者がいます。当初は若年層を中心とした利用が想定されていましたが、実際には40代以上が全体の約6割を占めています。
キャンペーン開始時から継続利用しているユーザーは約7割で定着率が高いのも特徴です。またSAKULaLaではポイントカードの連携が可能なので、「決済はタッチ、ポイントは別のアプリで」といった煩雑さを解消した利便性の高さも評価されています。
今後の展望
顔認証技術を搭載、国内2,000万人が利用するサービスへ
清藤様:今後は「SAKULaLa」に顔認証技術も搭載し、利用店舗を拡大することで、国内で2,000万人の利用をめざしています。
生体認証が「誰でも簡単に使える技術」として定着してセルフレジの利用が進めば、労働力不足の解消にも寄与できるでしょう。
生体認証は、エンドユーザーと事業者の双方にとって、社会課題の解決につながる技術だと考えています。
安齋様:私たちが「SAKULaLa」というサービス名に込めたのは、“サクッと楽に”、手ぶらで快適な生活を楽しんでほしいという願いです。ユーザーにとって使いやすく、豊かな生活を送れるサービスとして広めていきたいと考えています。労働力不足の観点では、特に地方ではスーパーが人材を確保できず開店を延期するという声も聞きます。このサービスが労働力不足解消の一助となり、持続可能な社会につながっていけばと思っています。

DGFTは今後も「SAKULaLa」をはじめとする、生体認証決済のさらなる普及を支えていく基盤としてユーザーの利便性向上とキャッシュレス社会の発展に貢献してまいります。
株式会社日立製作所
設立: | 1920年2月 |
---|---|
連結従業員数: | 282,743名(2025年3月末現在) |
東武鉄道株式会社
設立: | 1897年11月 |
---|---|
連結従業員数: | 3,280人(2024年3月31日現在) |
※掲載内容は、本事例の掲載日時点の情報です。
※記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
2025年09月9日掲載