2020/06/12
ECサイトを構築する際には、ECサイトの構築方法と決済方法の検討が必要です。本記事では特にECカートを利用してECサイトの構築を検討している事業者様を対象に、ECカートのタイプ別のメリット・デメリットや、決済サービス導入時の注意点をわかりやすく解説していきます。
この記事の目次
この記事のポイント
ECカートへ決済サービスを導入する際には、どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。以下の3つのポイントに分けて解説します。
- そもそもECカートとは
- 自社に合ったECカートを知る
- 決済サービス導入時におすすめの導入方法と注意点
1. ECカートとは
1-1. ECカートの機能
ECカートとは、ECサイトの運営に必要な一連の機能が備わっているサービスのことです。基本的な機能としては下記が挙げられます。
- 商品情報や商品一覧の表示
- 配送先、配送方法を指定・顧客・販売管理
- 購入者への注文確認連絡
ECサイトを自社で構築するフルスクラッチと比べ、構築にかかる費用と時間が少ないことがメリットといえます。そのため比較的早く、低コストでECサイトを立ち上げたい事業者に適している構築方法です。
1-2. ECモール出店との違い
ECカート、フルスクラッチのほか、ECモールに出店するという立ち上げ方法があります。
すでに用意されている機能を利用できる点ではECカートと同じですが、ECカートが自社ドメインでECサイトを構築するのに対し、ECモールを利用する方法は楽天やAmazonなどの大手ECモール内に出店、あるいは商品情報を掲載します。
大手ショッピングサイトが持つ集客力を利用できる点がメリットですが、ショッピングサイト側に出店料や販売手数料を支払わなければならない点に注意が必要です。
2. ECカートのタイプ別の特徴
以下ではECカートの3つのタイプ「パッケージ型」、「オープンソース型」、「ASP型」と、参考としてフルスクラッチによる構築方法をそれぞれご紹介します。
構築方法 | パッケージ型 | オープンソース型 | ASP型 | フルスクラッチ |
---|---|---|---|---|
メリット |
|
|
|
|
デメリット |
|
|
|
|
サービス例 |
|
|
|
- |
2-1. パッケージ型
「パッケージ型」にはベースとなるカートシステムが搭載されており、フルスクラッチほどの自由度はありませんが、デザインや機能を柔軟にカスタマイズできるメリットがあります。
デメリットとしてはカスタマイズ性が高い分、開発にかかる時間は長く、初期費用も高くなる傾向にあることです。
自社のECサイトに独自性を持たす場合や、今後の事業拡大に備えてサイトの拡張性を維持しておきたい場合などにはおすすめです。
代表的なパッケージ型のECカートは、ebisumart、Commerce21、Sell-SideSolutionなどです。
2-2. オープンソース型
「オープンソース型」はインターネット上に無償で公開されているECカートです。代表的なサービスはEC-CUBE、Magentoなどがあります。
パッケージ型と同じくサイト構築の自由度が高く、技術力があれば構築費用をかけずに多様な機能や、独自のデザインをサイトに実装することが可能です。
デメリットは基本的にはサポートがないため、トラブル発生時は自社責任となる点です。セキュリティ面についても導入前によく調査しておいたほうがよいでしょう。また、パッケージ型と同じく構築にかかる時間は多くなります。
そのため、オープンソース型は自社に技術力のある開発担当者がおり、かつ初期費用をできる限り抑えたいという事業者にとっては選択肢の一つといえます。
2-3. ASP型
「ASP型」とはECサイトを構築する際に必要なシステムでクラウドを通じて提供しているサービスのことです。BASEやeasy my shop(イージーマイショップ)などのサービスがASP型に該当します。
サーバーなどのインフラ構築・運用・保守が不要でフルスクラッチ型やパッケージ型と比較して安価かつ迅速にサービスを開始・運用することができます。
デメリットは、従来に比べて柔軟性は増したものの、他の構築方法と比べてカスタマイズ性やデザインの自由度が低い点です。
初期費用、運用費用ともに抑えたい、簡単にECサイトを構築したいといった事業者にはおすすめです。
2-4. 【参考】フルスクラッチ型
「フルスクラッチ型」とは既存のサービスを利用せず、ECサイトの仕組みをすべて自社で構築する方法です。
メリットはデザインや機能のカスタマイズの制約がないため、自社のコンセプトを表現することができ、ECサイトに搭載したい機能を自由に追加できる点です。また、他サービスとの連携にも制約がありません。
デメリットは自由にECサイトの構築が可能な分、構築にかかるコストや時間が多大にかかることや、インフラやシステムの最新化などの運用費用も高額になることです。
そのため、資金力があり、大規模サイトを構築したい事業者に向いている構築方法です。
以上、4つのECサイトの構築方法について解説しましたが、どの方法が良いという訳ではなく、一長一短あるため、自社に適したECカート、構築方法を選ぶことが重要です。また、さまざまなECカートサービスがあり、採用する構築方法が決まった後、さらにサービス同士の比較検討が必要です。
3. ECカートの決済機能について
どのECカートを選んでもそれだけでは決済機能が提供できないため、決済サービスを別途契約する必要があります。
決済方法は日本国内の代表的なクレジットカードブランドだけでもVisaやMasterCard、American Express、JCBがあり、その他にもキャリア決済、コンビニ決済など多種多様な決済手段があります。それらを一つ一つ契約していくのは非常に時間や手間がかかるため、数多の決済手段を簡単に導入する方法として決済代行会社を利用することをおすすめします。
決済代行会社を利用して決済サービスを導入すれば、契約・開発は決済代行会社とだけで行えばよく、決済サービスを提供する各社と個別で契約する際と比べて多くの手間や時間が省けます。
また、運用時も決済代行会社の提供する決済管理画面を利用して複数の決済手段が一元管理できます。新しい決済手段は決済代行会社が随時対応するため、ECサイトオープン後に新たに決済手段を追加したいとなった場合でも決済代行会社経由で簡単に追加することができます。
■決済サービス事業者と個別に契約した場合
■決済代行会社経由で導入した場合
決済代行会社を利用して決済サービスを導入することにより上記のメリットを得ることができますが、注意しなければいけないこともあります。
それは、ECカートによって対応している決済代行会社が違うことです。もし自社で導入したいECカートが決まっている場合には、導入するECカートに対応している決済代行会社を選ぶようにしましょう。
また、どのECカートを採用するのか決められない場合には、決済代行会社を決めてから対応するECカートを選ぶという方法もあります。
当社へのお問い合わせの中でも、決済サービスの検討開始がECサイトオープン間近のタイミングになり、決済サービスの導入期間を考えるとサイトオープンに間に合わないといったケースが多くあります。そのため、ECカートの検討を始めるのと同じタイミングで決済代行サービスの検討を始めることが望ましいでしょう。
DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら
まとめ
ECカートについて下記のポイントを中心に解説してきました。
- ECカートはECサイトに必要な機能を備えているサービスのこと
- ECカートは「パッケージ型」「オープンソース型」「ASP型」の三種類があり、それぞれサポートやカスタマイズ性、開発、運用時の費用に差がある
- 決済機能を追加する際に決済代行会社を利用することで多様な決済手段を一括で導入できる
- 決済代行会社を利用する際には使いたいECカートに対応しているかを確認する必要がある(決済代行会社を決めてからECカートを決める方法もある)
これからECサイトを構築するのであれば、まずはECサイトの構築方法と決済サービスの検討から始めてみてはいかがでしょうか。