スマホ決済とは?種類や支払方法、メリット・デメリットを解説

      

更新日|2025/10/14

業務効率化、顧客満足度の向上、そしてセキュリティの強化。スマホ決済は単なる「便利な支払い手段」から、企業価値を高める戦略的なインフラへと進化しています。消費者の期待値が日々上がる中で、事業者がスマホ決済を導入する理由と、成功する選定・運用のポイントを、わかりやすくご紹介します。

この記事の目次

スマホ決済とは、スマートフォンを使ってお支払いを完了するキャッシュレス決済の一形態です。
主にQRコードや非接触ICチップなどの技術を活用し、現金やクレジットカードを使用せずに、対面・非対面問わず幅広いチャネルでご利用可能な決済手段です。

お客さまの利便性向上だけでなく、事業者側の業務効率化やレジ業務の簡素化といった実務的メリットも評価され、近年法人導入が加速しています。

経済産業省の調査では、キャッシュレス決済全体の比率は2024年時点で42.8%、そのうちコード決済(主にスマホ決済)が9.6%を占めると報告されています(出典:経済産業省 2024年速報値)。

さらに、オンラインとオフラインを融合するオムニチャネル戦略の実現にも貢献しており、スマホ決済は単なる「お支払い手段」ではなく、企業のUX設計や収益最大化を支える基盤インフラとして位置づけられています。

スマホ決済には複数の方式があり、店舗の業態やお客さまのご利用シーンに応じて最適な手段を選ぶことが重要です。主な種類には「QRコード決済」「非接触型IC決済」「キャリア決済」があり、それぞれ導入コストやご利用チャネルが異なります。

QRコード決済

QRコード決済は、スマートフォンに表示されたQRコードをお客さまが読み取る、または店舗のQRコードをユーザーがスキャンすることでお支払いが完了する決済方式です。

専用端末が不要で導入コストが低い点が特長です。スマホアプリを通じてご利用できるため、ポイント還元やクーポン施策との連携がしやすく、集客力向上に寄与します。

主な導入シーンには、コンビニ・飲食店・ドラッグストアなどの小売店舗、キッチンカーやイベント会場、個人サロンなどが挙げられます。

代表的なサービス:

非接触型IC決済

非接触型IC決済は、スマートフォンを専用リーダーにかざすだけでお支払いが完了する方式です。

決済スピードが速く、非接触で衛生的な決済環境を提供できるのが魅力です。Apple PayやGoogle Payなどのウォレットアプリとの連携が進んでおり、お客さまの利便性も高いです。

主に、鉄道や交通機関、チェーン系飲食店、大型量販店などで導入されており、通勤や日常生活に密着した場面で多く使われています。

代表的なサービス:

  • Apple Pay(iPhoneシェア:約60%、[出典: StatCounter])
  • Google Pay

キャリア決済

キャリア決済とは、携帯電話会社(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクなど)の月々の通信料金と合算してお支払いができるオンライン決済手段です。

クレジットカード登録が不要でご利用できる利便性が評価され、特に若年層やクレジットカード未保有者に支持されています。

主な導入シーンには、デジタルコンテンツの購入(アプリ・音楽・動画配信)や通販サイトなどのEC領域があり、課金のハードルが低いためコンバージョン(CV)率が高い点もメリットです。

代表的なサービス:

  • d払い
  • auPay(かんたん決済)
  • ソフトバンクまとめて支払い

スマホ決済には、前払い(プリペイド型)・即時払い(リアルタイムペイ)・後払い(ポストペイ型)の3種類があります。お客さまのライフスタイルや管理ニーズに応じて選べるのが特徴で、それぞれの仕組みと導入メリットを理解することが重要です。

それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。

前払い(プリペイド型)

前払い(プリペイド型)は、あらかじめ専用アプリや電子マネーに金額をチャージ(入金)しておき、その残高からお支払いする方式です。銀行口座やコンビニからの入金が可能で、ご利用可能額が明確なため、使いすぎを防止できるのが利点です。

この方式は、クレジットカードを持たない学生や未成年、支出管理を重視するお客さまに適しており、家計簿アプリとの連携で予算管理にも便利です。また、プリペイド型は現金感覚に近く、キャッシュレス初心者にも抵抗なく受け入れられやすい点が評価されています。

代表的なサービスには、楽天Edy、au PAYなどがあり、小売店やチェーン飲食店など幅広いシーンで活用されています。

即時払い(リアルタイムペイ)

即時払いは、お支払い時に連携した銀行口座から金額がその場で引き落とされる方式です。チャージ不要で、口座残高をそのままご利用できるシンプルさとリアルタイム性が特長です。

特に、家計を厳密に管理したい層や日常の少額決済(ランチ・スーパー等)でのご利用に適しています。メルペイやBank Payなどがこの方式を採用しています。

後払い(ポストペイ型)

後払い(ポストペイ型)は、商品の購入やサービスご利用後に、月末などにまとめてお支払いする方式です。クレジットカードや携帯料金と合算して請求される仕組みで、即時決済に比べて柔軟なお支払いが可能となります。

この方式は、急な出費やオンラインショッピング、月額制サービスに適しており、手元資金が少ないタイミングでも決済を完了できる点で利便性が高いです。

代表的なサービスには、PayPayあと払い、d払い(後払い)、Paidyなどがあります。

スマホ決済を導入・活用することで、お客さまにとって「利便性」「お得さ」「安全性」など多くのメリットがあります。ここでは代表的な6つの利点を紹介し、購買体験の向上がどのように実現されるのかを解説します。

お支払いがスムーズにできる

スマートフォンをかざす・コードを読み取るだけで決済が完了するため、レジ待ちのストレスを軽減し、短時間での会計が可能です。非接触でのお支払いは衛生面でも安心されており、コロナ禍以降、急速に支持を集めています。

ご利用した分のポイント還元がある

お支払い金額に応じてポイントが還元されるスマホ決済が主流で、実質的な割引や特典が得られるのが魅力です。楽天ペイやPayPayなどは、独自のポイント経済圏を形成し、リピーター獲得にも寄与しています。

個人間での送金サービスがある

PayPayなどでは、個人間送金が即時で可能なため、割り勘や立て替えの精算もスマートに対応できます。現金の受け渡しが不要で、若年層を中心に日常生活に溶け込んだ機能となっています。

ご利用履歴を確認できる

スマホアプリ上でお支払い履歴や明細がリアルタイムに確認可能で、家計管理や経費精算を効率化できます。CSV出力やフィルタ機能を備えたサービスも多く、キャッシュレス時代における“見える化”を支援します。

現金を引き出す手間がない

ATMに行かなくても買い物やお支払いが完結できるため、財布なしでの外出も可能になります。とくに通勤時や買い物中にATMを探す手間が省けることで、行動の自由度が広がり、スマートなライフスタイルを実現します。キャッシュレス社会の浸透とともに、こうしたシーンは今後さらに拡大していくと見られます。

セキュリティ対策がしっかりしている

多くのスマホ決済では、生体認証・ワンタイムパスワード・トークン化などのセキュリティ対策が標準装備されています。クレジットカード番号が店舗に渡らない設計も安心材料の一つです。

スマホ決済には多くの利点がありますが、お客さま視点では注意すべき課題も存在します。ここでは、代表的な3つのデメリットを紹介し、導入前に知っておきたい懸念点を整理します。

ご利用できないお店がある

すべての店舗でスマホ決済が使えるわけではありません。特に小規模な個人商店や地域密着型の店舗では、導入コストや操作負担を理由に未導入のケースもあります。そのため、現金との併用が必要になるシーンが一定数存在します。法人としては、対応可能な決済手段の幅を広げることが、顧客満足度向上に直結します。

スマートフォンが電池切れすると利用できない

スマホ決済は端末依存の仕組みのため、電池切れや故障時にはご利用できなくなるリスクや、通信環境が不安定な場所ではアプリの読み取りエラー、決済遅延が発生する場合があります。こうした物理的・環境的要因をカバーするためには、事業者側で複数のお支払い方法を併用する設計が求められます。お客さまにとっての使いやすさ=選択肢の確保が、導入設計のカギとなります。

ご利用前に設定が必要

スマホ決済の初回ご利用には、アプリのダウンロード・アカウント登録・お支払い方法の設定などが必要です。特に高齢者やITリテラシーの低い層にとっては、この“初期設定”が心理的ハードルとなりやすく、導入促進のボトルネックになることもあります。事業者としては、こうしたご利用障壁を理解し、スタッフによる操作サポート体制や紙面マニュアルの設置が効果的です。

スマホ決済の導入は、事業者側の業務効率化や顧客対応力の向上にも大きく貢献します。ここでは、導入によって得られる代表的な3つのメリットを紹介し、集客・会計効率・人的ミス削減といった観点からその価値を解説します。

集客率のアップが期待できる

スマホ決済に対応することで、キャッシュレス決済を好む若年層や訪日外国人観光客など幅広い層の集客が可能になります。とくにPayPayや楽天ペイのような高い認知度を持つサービスに対応することは、選ばれる店舗づくりの一環となります。さらに、アプリ上でのクーポン配布やキャンペーン連携により、リピーター獲得や単価アップにもつながるなど、マーケティング施策との親和性も高く、集客力の強化が期待できます。

会計時の混雑緩和に繋がる

スマホ決済は、会計フローの短縮と非接触決済によるスムーズなオペレーションを実現します。特にピークタイムにおいては、現金の受け渡しやお釣りのやり取りが不要なことで、レジ前の混雑を大幅に緩和できます。回転率の向上やストレスの少ない接客環境づくりに寄与し、スタッフ負担の軽減と顧客満足度の向上を両立できます。

人的ミスの減少

現金管理から解放されることで、釣り銭ミスやレジ誤差、会計間違いといった人的ミスの削減が実現します。さらに、営業後のレジ締め作業や日報記録などの事務負荷も軽減され、店舗オペレーションの効率化と正確性が向上。新人スタッフや外国籍従業員にとっても扱いやすく、教育コストの削減にも効果を発揮します。

スマホ決済は多くの利点がありますが、導入や運用において考慮すべき課題も存在します。ここでは、導入検討の判断材料となる代表的な3つのデメリットを、店舗運営の現実的な観点から整理します。

導入コスト・手間がかかる

スマホ決済の導入には、決済端末の用意やアカウント開設、システム設定、スタッフ教育といった初期負担が伴います。特にNFCリーダーを用いる非接触型IC決済では、専用機器の設置・メンテナンスが必要となるため、小規模店舗ではハードルになることもあります。さらに、複数の決済ブランドを扱う場合には、事務管理の煩雑さや業務フロー調整の手間も生じやすく、導入時の計画設計が重要です。

入金確認までタイムラグがある

スマホ決済の多くは、売上の入金が即日ではなく、数営業日かかることが一般的です。このため、現金商売に慣れている店舗や、日次での資金繰りが必要な業態にとっては、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。導入前に、サービスごとの入金サイクルや管理体制の確認が必要です。

決済手数料がかかってしまう

スマホ決済サービスでは、決済額に応じて数%の決済手数料が発生します。このコストは、特に原価率の高い業種や粗利の低い商材を扱う店舗にとって負担となるケースがあります。また、キャンペーンなどで割引を提供する際には、利益確保の観点から手数料を含めた収支設計が求められます。コスト比較と運用ルールの明確化が鍵となります。

スマホ決済の導入においては、「導入すれば良い」ではなく、自社に合ったサービスを選定できるかが成果の分かれ道です。※ここでは、導入コスト・入金スピード・利用者数などの比較観点をもとに、事業者が意思決定する際に押さえておくべき重要な3つのポイントを解説します。

スマホ決済のご利用者が多いか

スマホ決済を導入する際にまず重視すべきなのは、どれだけ多くのお客さまにご利用されているかという点です。お客さま数が多い決済サービスは、それだけで集客力の向上や顧客満足度の改善につながる可能性が高く、特に対面販売においては大きな差別化要素となります。

たとえば、PayPayは国内登録ご利用者さま数が約7,000万人、楽天ペイは楽天会員1億人超の顧客基盤に支えられており、それぞれのサービス圏内で高い訴求力を発揮します。自社の商圏におけるご利用率や認知度の高いサービスを選定することが、スマホ決済導入の成果を最大化する鍵です。

加えて、お客さま数が多いサービスは対応店舗数やサポート体制も整っているケースが多く、運用面での安定性や将来性という観点からも有利と言えるでしょう。

出典:
PayPay株式会社「プレスリリース」
楽天ペイメント株式会社「Our Business」

導入コスト

スマホ決済の導入にあたっては、初期費用や運用コストの見積もりが重要な判断材料になります。とくに、QRコード型と非接触IC型では必要な設備や運用負荷に大きな差があります。

QRコード決済は、印刷したコードやタブレットでの対応が可能なため、専用端末を必要とせず、初期コストを抑えやすいのが特徴です。これにより、小規模事業者や個人経営の店舗でも導入しやすくなっています。

一方で、非接触型IC決済(NFC/FeliCa)は、専用のリーダー端末や通信環境の整備が求められ、導入時のコストや手間が増加します。加えて、スタッフへの操作研修やメンテナンスも視野に入れて選定することが肝要です。

入金サイクルの確認

スマホ決済を導入する際には、売上金がいつ口座に振り込まれるかという「入金サイクル」も重要な検討ポイントです。多くのサービスでは、決済日から数日後にまとめて入金される仕組みになっており、即時入金が必要な業種にとっては注意が必要です。

たとえば、PayPayは原則「翌営業日入金(要条件あり)」、楽天ペイは週1〜2回のサイクルなど、サービスによって入金頻度・手数料・タイミングが異なります。これらを把握せずに導入すると、資金繰りや経理処理に影響を及ぼす可能性があります。

また、複数のスマホ決済を同時に導入している場合は、入金管理が煩雑になるため、決済代行サービスの活用がおすすめです。一元化された入金スケジュールや帳票連携、専用サポートを提供するベンダーを選ぶことで、管理コストの削減と業務効率化が図れます。

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら

スマホ決済は、利便性・業務効率・セキュリティを同時に実現できる、現代ビジネスに欠かせない決済手段です。店舗の規模や業態を問わず導入可能で、お客さま満足度の向上やLTV最大化にも直結します。

導入を成功させるには、「どの決済方式が自社に適しているか」「入金サイクルや導入コストはどうか」といった観点から、複数サービスを比較検討することが欠かせません。

特に法人企業においては、スマホ決済がブランド体験やOMO戦略の一環として重要な役割を担うため、戦略的な選定と運用体制の構築が成功の鍵となります。

スマホ決済の活用は、単なるツール導入にとどまらず、企業価値を高める一手として大きな可能性を秘めています。

スマホ決済はどれがいい?

スマホ決済の最適解は、業種・業態・ターゲットとなるお客さまによって異なります。たとえば、お客さま数の多さとキャンペーン展開の強さで選ぶなら「PayPay」や「楽天ペイ」が候補となり、オンラインコンテンツ販売などでは「キャリア決済」が有効です。お客さまからは「ポイント還元」や「対応店舗数」が重視される傾向にあり、事業者としては“使いやすさ”を選定軸に入れることで、顧客満足度やLTV向上にもつながります。

スマホ決済の種類は何がある?

スマホ決済には主に以下の3種類があります:

  • QRコード決済:お客さま/店舗がコードを読み取り、対面決済に強い
  • 非接触型IC決済:FeliCaやNFCを使い、交通系ICや大手チェーンでの活用が多い
  • キャリア決済:月々の携帯料金と合算してお支払いするオンライン向け方式

導入シーンやターゲットによって適した方式は異なるため、複数導入の選択肢も視野に入れるとよいでしょう。

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