2020/01/14
電子決済サービスはEC業界を中心として導入が進んできましたが、キャッシュレス化の波を受けて、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などが実店舗でも急速に導入されています。今回は、主に実店舗で使われている電子決済の主な種類や特徴、基本的な仕組みについて見ていきましょう。また、導入するメリットや導入方法についても紹介していきます。
この記事の目次
1.電子決済とは?種類や特徴を解説
電子決済についての理解を深めるための基礎知識として、電子決済の種類や特徴、基本的な仕組みについて詳しく見ていきましょう。
1-1.そもそも電子決済とは?
電子決済では、現金の直接的な受け渡しを行いません。電子的なデータの送受信によって決済を処理する方法であり、具体例としてはクレジットカードやデビットカードによる決済、Suica・楽天Edy・nanacoなどの電子マネー(電子通貨)による決済があげられます。電子決済は実店舗だけでなく、ECや通信販売などのインターネット上の決済にも対応しているものが多いです。
特にECは幅広く、クレジットカードや電子マネーだけではなく、Pay-easyやインターネットバンキングのような銀行決済、キャリア決済のほかにコンビニ決済なども含まれています。このようにさまざまな決済手段があり、電子決済は日常生活のあらゆる場面で利用が可能です。
電子決済の種類
- デビットカード決済/クレジットカード決済
- 電子マネー決済
- 銀行決済
- キャリア決済
- コンビニ決済
- ID決済
- モバイル決済/QRコード決済
1-2.電子決済の2つのインターフェース
実店舗で利用される電子決済は、大きく分けて「ICチップ方式」と「バーコード方式」の2種類のインターフェースがあります。
ICチップ方式では、耐久性があり不正利用に強いICチップをカードに埋め込んでおり、決済時にはそのチップを読み込んで決済する方式です。ICチップ方式は、さらに「接触型」と「非接触型」の2つに分類されます。
接触型はカード端末機のリーダ・ライタ端子と接触させるモジュール端子を持つタイプのものであり、カード端末機に直接接触して通信を行います。主にクレジットカード・デビットカード・キャッシュカードなどで利用されているものです。
■接触型のICチップ方式
その一方で、非接触型はカード部分にアンテナが内蔵されており、微弱な電波を使ってリーダ・ライタ端末と無線によってデータの交信を行います。非接触型は、SuicaやPASMOのような交通系電子マネーや、nanacoやEdyなどの電子マネーが該当します。
■非接触型ICチップ方式
バーコード方式は、バーコードやQRコードを利用して決済する方式のことです。店頭で専用QRコードを消費者のスマートフォンのカメラで読み取って決済する方式と、消費者のスマートフォンアプリに表示されたバーコードやQRコードを店頭の端末で読み取って決済する方式があります。
PayPayやLINE Payなど最近続々と登場しているいわゆるスマートフォン決済と呼ばれる電子決済の多くはQRコード方式のものであり、さらに増加する傾向にあります。
■消費者が店舗のQRコードを読み取る方式
■店舗のスタッフがバーコードを読み取る方式
そして、ICチップ方式やバーコード方式以外に磁気カード方式があり、主にクレジットカードを中心に使用されていました。しかし、スキミングによる詐取被害を受けるといったセキュリティリスクが高く、磁気カードからICカードへの移行が急速に進んでいます。
1-3.主要な電子決済の支払い方式は3種類
利用者が支払う方法によって、電子決済は3つの種類に分けられます。
1つ目は「プリペイド方式(先払い方式)」であり、あらかじめ現金をチャージしておき、商品やサービスを購入する方法です。例としては、Suica・PASMO・楽天Edy・WAON・nanacoといった交通系や流通系の電子マネーなどがあげられます。使用できる金額の上限がチャージ金額の範囲内であるため、少額決済で利用されやすい点が特徴です。
2つ目は「ジャストペイ方式(即時払い方式)」であり、金融機関と連携して口座残高を上限として即時決済を行うことが可能です。決済処理を行った直後に口座から利用代金が引き落とされる仕組みであるため、ほとんど現金と同じように使うことができます。例としては、金融機関のデビットカード・インターネットバンキング・モバイルバンキングなどです。
そして3つ目は、「ポストペイ方式(後払い方式)」であり、決済直後には支払を行わずに後から利用代金が請求されます。クレジットカードやクレジットカードと連携したスマホアプリ、キャリア決済などで利用することが可能です。クレジットカード・キャリア決済以外だと、iD・QUICPay・Apple Payなどがあげられます。
プリペイド方式のようにチャージが不要で便利であるものの、クレジットカードやカード連携型スマホアプリの場合、利用にあたってはカードの審査が必要となる点に注意しておきましょう。
■主要な電子決済の支払い方式3種
方式 | 概要 | 決済手段 |
---|---|---|
プリペイド方式 (先払い方式) |
あらかじめ現金をチャージしておき、支払いを行う方式。少額決済でよく利用される。 | ・交通系や流通系の電子マネー(Suica/PASMO/楽天Edy/WAON/nanacoなど) |
ジャストペイ方式 (即時払い方式) |
決済処理を行った直後に口座から代金が引き落とされる方式。現金と同じ感覚で利用できる。 | ・デビットカード ・インターネットバンキング ・モバイルバンキング |
ポストペイ方式 (後払い方式) |
決済直後には支払を行わずに後から利用代金が請求される方式。事前チャージが不要。 | ・クレジットカード決済 ・キャリア決済 ・ID決済(iD/QUICPay/Apple Payなど) |
1-4.年々増加する電子決済の市場規模
電子決済の比率は年々上昇傾向にあり、電子決済を導入することによって利用者のニーズに応えることができるでしょう。特に外国人観光客はキャッシュレス決済を好む傾向にあるため、増加する外国人観光客のニーズをしっかりと取り込んでいくためには早急に対応する必要があるといえます。
キャッシュレス決済額のうち、クレジットカードが全体の90%を占めていることから、クレジットカード対応は優先的にすることが大切です。(出典:経済産業省『FinTechビジョン』)
日本国内のキャッシュレス決済比率は全体の2割程度とまだまだ低い状況ですが、2019年10月からの消費増税に伴って、中小事業者の運営する店舗で電子決済を利用した消費者に対してポイント還元を実施するなど、政府もキャッシュレス決済を推進しており、事業者にとっても電子決済サービスを導入しやすい環境が整備されています。よって、今後さらに電子決済の利用者の増加が見込まれるでしょう。
出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会『キャッシュレス・ロードマップ 2019』
2.電子決済導入のメリットは?
電子決済を導入することは、消費者側・店舗側の双方にとってメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのかについて、詳しく見ていきましょう。
2-1.消費者のメリット
電子決済の導入によって消費者が受けるメリットは、現金の支払いに比べて決済時間が短縮されるため、レジで待つ必要がない点です。また、現金を持ち歩かなくてもよくなるため、現金を引き出す際に発生する手数料や時間などを節約できるでしょう。
紛失もしくは盗難などの被害に遭った際にも、クレジットカードの場合はカード会社が不正利用の負担を補償してくれるケースもあります。ただし、プリペイド方式の場合には補償がつかない場合もあるため、事前に確認が必要です。
nanacoなど、利用すればするほどポイントが付与されるものが多いため、お得に買い物をすることもできます。
2-2.店舗のメリット<レジ業務の高速化・人件費の削減>
電子決済を導入することは、店舗側にもさまざまなメリットがあります。現金の受け渡しがなくなることで、レジの回転率を高めることができ、金銭の受け渡しのミスといったことも防げるでしょう。現金を取り扱うリスクも減少し、金銭管理にかかる業務負担を軽減できます。
電子決済専用の無人レジの設置も増えてきており、人件費の削減にもつながります。飲食店などにおいては現金に直接触れる機会を減らすことによって、衛生面を向上することができるでしょう。
2-3.店舗のメリット<売上げ単価の向上>
電子決済を導入すれば、販売機会を広げるほか、客単価の向上につなげることができるでしょう。クレジットカード決済やQRコード決済などの電子決済の場合、消費者は現金の持ち合わせがなくても買い物を行えます。
実際に支出をしているという感覚が薄れることによって、支出機会の増加につなげられるはずです。1回あたりの決済においても、現金の場合よりも多くのお金を使う可能性が高くなるでしょう。
さらに、クレジットカード決済であれば分割払いやリボ払いにも対応しているため、消費者の都合の良いときに支払うことができます。事業者にとっては、消費者が商品やサービスを欲しくなったタイミングを逃さないといったメリットがあり、支払い余力の増加によって購入単価の上昇も期待できるのです。
2-4.店舗のメリット<新規顧客やリピーターの獲得>
電子決済を導入することによって、新規顧客に加えてリピーターも獲得しやすくなるといえます。
多様な支払い方法が選べることによって利便性をアピールでき、決済サービス事業者が展開するポイント還元のプロモーションなどによって購買意欲を高められるでしょう。QRコード決済(バーコード決済)サービスが、ユーザーの利用額に応じたポイント付与やポイント還元のプロモーションを行っていることもあり、新規顧客やリピーターをうまく取り込んでいくことにもつながります。
クレジットカードや電子マネーなど、支払い方法が増えることによって消費者の選択肢が広がり、レジの処理もスピーディーになるためリピート化しやすいといえるのです。
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3.電子決済導入の場合の店舗側のデメリットは?
電子決済の導入にはさまざまなメリットがある一方で、少なからずデメリットもあります。電子決済では利用額の数%の決済手数料が発生するため、店舗側の負担増となってしまう可能性があるでしょう。また、端末の設置によって初期費用がかかったり、システム・端末利用料として、月々の固定費や維持費が発生したりするケースもあります。
契約面での手続きも必要となり、導入時には事務的な負担が増してしまう恐れもあります。そして、現金決済の場合ではすぐに手元に現金が入ってくるものの、電子決済では売上が生じてから事業者に売上金が入金されるまでのタイムラグがあるため、運営資金の確保には注意しておく必要があります。
4.電子決済を導入する方法とは?
電子決済を導入する方法は、個別に契約を行うケースや決済代行会社を経由して導入するケースなどがあります。また、スマホ決済やQRコード決済のサービスを導入するケースもあるでしょう。それぞれのケース別に、具体的な導入方法を紹介していきます。
4-1.決済サービス事業者と個別に契約
店舗事業者が電子決済を提供している会社(決済サービス事業者)と個別に加盟店契約を行う場合には、自ら申請を行って、個別に審査を受けた上で契約を締結する必要があります。決済サービス事業者毎に契約内容や運用方法は異なるため、手数料・セキュリティ要件・などについて、それぞれ確認しておくことが大切です。
複数の決済サービス事業者と同時に契約をする場合には、個別に契約を行ったり運用・管理をしたりする手間やコストが発生してしまいます。QRコード決済サービスは開発なしに比較的容易に導入できますが、決済サービスによっては、事業者と決済サービス事業者との間で個別のシステム接続が必要になる可能性もあります。
契約をする決済サービス事業者によって、売上金が入金されるタイミングも異なるため、経理処理が煩雑になってしまう恐れもあります。電子決済の導入時にはあらかじめ準備期間を設けて、漏れがないように対応していく必要があります。
■決済サービス事業者と個別に契約した場合
4-2.決済代行会社経由
決済代行会社を経由して電子決済を導入することもできます。決済代行会社は、事業者とクレジットカード会社や電子マネー事業者、QRコード決済事業者との間を取り持つ役割を担います。
そのため、事業者は決済代行会社を通して各電子決済事業者と一括契約を行います。決済代行会社といえば、従来はEC事業者向けのサービス提供が中心であったものの、店舗向け決済サービスを提供する会社も増えてきています。
決済代行会社を経由すれば、さまざまな電子決済を一括で導入することができ、契約やシステム構築は決済代行会社との間とだけ行えば良いということになります。電子決済を複数個別で利用している場合は入金のタイミングはまちまちになりますが、決済代行会社を利用することによって入金のタイミングが統一され、入出金の管理など経理作業が行いやすくなります。
たとえば、DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)では店舗向けの電子決済サービスとして「mPOS」や「POS向けバーコード決済ソリューション」などを提供しています。
mPOSはモバイル端末と専用決済端末を利用したマルチ決済サービスで、クレジットカード決済やQRコード決済をはじめ、訪日外国人向け決済サービスとしては、AlipayやWeChatPay以外にも銀聯カード、韓国人向けの新韓カードのほかに欧米圏で利用されている非接触カード決済 PayPass・PayWaveにも対応しているのが強みです。
POS向けバーコード決済ソリューションは、POSレジにLINE Pay・d払い・訪日外国人向けQRコード決済など、各種バーコード決済を一括導入できます。POSレジを導入している事業者向けのサービスのため、多店舗展開を行っている飲食チェーンや小売事業者向けのサービスだといえるでしょう。
店舗レジでの運用を簡素化することによって、金額の入力ミスを減らせるメリットがあります。契約手続きや売上金の入金は、DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)がまとめて対応してくれるため、事務的な負担も軽減できます。
■決済代行会社経由で導入した場合
4-3.モバイル決済・QRコード決済サービス
モバイル決済やQRコード決済としては、「PayPay」、「LINE Pay」や「楽天Pay」などが該当します。また、QRコード決済(バーコード決済)のほかにクレジットカードや電子マネーなど複数の決済サービスをまとめて提供している「Airペイ」などの決済サービスもあり、各種決済手段を一括して導入することが可能です。
ただしサービスによっては提供する決済手段の数が単独、または少ないものもあるので導入時に必要な決済手段を提供しているかチェックしましょう。
また、システム開発が不要なサービスが多く、支払い用QRコードの提示や、専用アプリとカードリーダなどの端末を用意するのみで導入できます。初期費用や月額費を無料としているサービスも多く、決済手数料も安いといえるでしょう。導入までのスピードが迅速であり、手続きも簡易なため、すぐに電子決済を導入したい場合や中小企業に向いています。
DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら
5.電子決済の導入は自社の販売体制や運用フローにあったサービスを検討しよう
電子決済の導入を独自で契約するのは、手間やコストといった面で負担が大きいことがあります。決済代行会社経由で導入したり、モバイル決済、QRコード決済サービスを利用すれば、クレジットカード決済や電子マネー決済、QRコード決済を一括導入することが可能です。比較的安価でスピーディーに導入できるのも魅力的だといえます。
DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧ベリトランス)では、決済に関するさまざまな相談に乗ってくれるので、気軽に問い合わせてみましょう。