2021/10/12
この記事の目次
スマートチェックインとは?
スマートチェックインとは、従来対面で行っていたフロントやカウンターでのチェックイン業務をIoT(モノのインターネット化)技術やシステムによって自動化・省力化する仕組みです。
現在、ホテルや旅館などの宿泊施設や空港などで利用されており、例えば成田空港やプリンスホテル、リゾートトラストなどの大手ホテルだけでなく、リラクゼーションサロンのりらくるなどでも導入されています。
スマートチェックインは、利用者の待ち時間の短縮やチェックインカウンターの混雑緩和、そして従業員と顧客の接触機会を減らす効果があるとして、コロナ禍でさらに注目が高まっています。以下では、特に宿泊施設におけるスマートチェックインについて解説していきます。
出典:
プリンスホテルズ&リゾーツ『スマートチェックイン(専用チェックインカウンター)』
リゾートトラスト株式会社『RTTGアプリの新機能「スマートチェックイン・アウト」』
りらくる(リラクル)『スマートチェックインの流れ』
■スマートチェックインの流れ
スマートチェックインの一般的な流れは以下の通りです。
- 予約・事前決済
- 事前チェックイン
- フロントでの予約情報の確認・本人認証
- カギの受け渡し
利用者は、予約後に予約確認メールに記載されたURLや専用アプリから、現地到着前にチェックインから決済まで完結できます。(サービスによっては現地決済またはチェックアウト後に決済するパターンもあり)
現到着後は、フロントにて、チェックイン用のQRコードを読み取る、予約確認メールを見せる、予約コードを入力するなどの方法で予約情報を確認し、顔認証、身分証明書やパスポートの提示または撮影・アップロード、ビデオ通話、署名などの手段で本人認証します。
カギについては、物理的なカギを渡す方法の他、スマートロックという方法もあります。スマートロックとは、スマホアプリなどを用いて、物理的なカギを用いず遠隔でドアの施錠管理を行うシステムです。
本人認証やカギの受け渡しなどのフロント業務も、スマートチェックインのサービスによっては専用の端末を設置することで省力化・無人化可能です。
■スマートチェックインの4つのメリット
非対面・非接触の実現
スマートチェックインを行う1つ目のメリットは非対面・非接触が実現することです。
これまで宿泊施設でのチェックイン業務はフロントにスタッフが立ち、宿泊客の本人確認や必要事項の記入などを対面で行う必要がありました。この方法は、宿泊客にきめ細かい対応ができる一方、必ず従業員と宿泊客が接触することになります。
しかし、旅館業法の改正によって、2018年6月15日以降、簡易宿泊施設だけでなくホテル・旅館でも、対応方法や設備など厚生労働省が定める要件を満たせば玄関帳場(フロント)を設置しない営業も可能になりました(詳細は後述します)。
このようにスマートチェックインを導入しフロント業務を無人化することで、人と人の接触をなくし飛沫による感染リスクも軽減できる可能性があります。
業務効率化・省力化
スマートチェックインによって業務効率化や省力化も期待できます。
対面でのチェックインの方法では、従業員が宿泊客から用紙への個人情報の記入を依頼したり、宿泊客が訪日外国人の場合にはパスポートをコピーしたりする手間がかかっていました。このように紙媒体での運用には労力がかかるだけでなく、保管の手間や紛失のリスクもあります。
一方、スマートチェックインでは、情報をデータで取得・管理することで省力化でき、データをクラウド上で保管することで場所にとらわれず台帳を管理することが可能です。
先述の通り、フロント業務に多くのスタッフを割かなくてもよいため省人化にもつながります。
インバウンド対応
3つ目はインバウンドに対応しやすくなる点です。
コロナ禍という不測の事態があったものの、世界的にもワクチン接種は拡大しており、経済活動が従来通り再開できる兆しが見えてきました。今後、訪日客数が回復することも期待される中で、フロントではスムーズな外国語対応が求められるでしょう。
そこで多言語対応型のスマートチェックインのシステムを導入すれば、外国語を扱える人材を雇用したり育成したりしなくても訪日客への対応が可能です。チェックインやチェックアウトだけでなく、入館案内や施設説明、決済までカバーできるシステムなら、より顧客満足度の高いサービスを提供できます。
コスト削減
4つ目として、コストの削減効果も期待できます。
従来の対面方式では、フロントで決済するにあたって、キャッシュレス決済にも対応するために自動精算機やクレジットカード用決済端末を導入・運用するなどのコストがかかります。
一方、スマートチェックインでは事前にオンライン上で決済できるため、決済に関するコストを減らせる可能性があるのです。
DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら
スマートチェックイン導入時のポイント
利便性の高い決済機能
Webサイトやアプリに決済機能が搭載されていれば、チェックインからチェックアウトまでのフローをよりスムーズにできます。チェックインやチェックアウトの際に宿泊客に支払いのために手間を取らせたり、スタッフが時間を割いたりする必要がありません。決済をシステム化し、後述する玄関帳場(フロント)代替措置の要件も満たせば完全無人化も可能です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い発表された、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)による「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」では、デジタルツールを活用した「カード決済による非対面チェックアウト手続き」を推奨しています。決済機能付きのスマートチェックインを導入すれば、その方針に沿った対応が可能です。
国内外で利用率の高いクレジットカードはもちろん、ID決済など、利用者のニーズに合わせた決済手段に対応することがサービスを選ぶ際のポイントといえます。
出典:日本旅館協会『宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)』
法令への対応
スマートチェックインによってフロント業務を無人化させる場合は、法令にきちんと対応できているか確認する必要があります。
厚生労働省令で規定されている「玄関帳場(フロント)」代替措置の要件は、以下の4つです。
- 緊急時の迅速な対応
- 宿泊者名簿の正確な記載
- カギの受け渡しを適切に実施
- ビデオカメラにより常時鮮明な画像で出入状況を確認
緊急時の迅速な対応
事故が発生した時やその他の緊急時にすぐに運営者に連絡を取るための通話機器があるなど、スピーディな対応を可能にするための備えをしている必要があります。
宿泊者名簿の正確な記載
宿泊者の本人確認を行った上で、人の出入りを正確に記録しておくことが重要です。
適切なカギの受け渡し
物理的なカギの利用あるいはスマートチェックインの場合を問わず、スムーズかつ確実にカギの授受ができる仕組みを整える必要があります。
ビデオカメラによる人の出入りの監視
ビデオカメラを常設するなどして、宿泊客はもちろん宿泊者以外の出入りの状況を確認するための設備の準備も必要です。
なお、上記の4要件はあくまでも厚生労働省が定めているもので、自治体によっては条例によってさらに別の要件が規定されていることもあります。スマートチェックインのサービスを選ぶ際は、法令・条例を細かく確認しておきましょう。
スマートチェックインのサービス3選
aiPass(アイパス)
aiPassは、スマートチェックイン機能をベースに、宿泊事業者に特化した豊富な機能のプラグインを自由に組み合わせて、業務をトータルにサポートするPMS(ホテル管理システム)です。
予約確認メールによる事前チェックインまたは、QRコードによる現地チェックインによるスマートチェックインが可能です。スマホでのチェックイン・チェックアウトだけでなく、施設案内や周辺案内などのサービスも提供可能です。
オプションで以下のようなサービスもあります。
- サイトコントローラー連携※
- スマートキー
- スマート決済
スマート決済とは、クレジットカード情報を登録することで、滞在時の支払いをチェックアウト時にまとめて決済できる機能です。
※サイトコントローラーとは複数の宿泊予約サイトと宿泊施設のホームページ予約システムをまとめて管理できるシステムのこと。
maneKEY(マネキー)
maneKEYとは、AI(人工知能)を活用したスマートチェックインサービスです。
最大の特徴は、パスポートの自動読み取りや宿泊客の容貌の照合をAIが行うことで、本人認証をスピーディかつ正確に行うことを可能にする仕組みです。
宿泊台帳とパスポートデータはクラウド上に保管されており、離れた場所からでも管理できます。IoTの仕組みを取り入れることでスマートロックやキーボックスとの連携も可能です。そのため、フロント前でのセルフチェックインはもちろん、完全無人化も実現できます。
宿泊客がチェックインする流れは、定型の予約確認メールの送信時に発行されたQRコードをフロントの端末にかざし、カメラを使った顔認証による本人認証を行ってからルームキーを受け取るというものです。
■aiPassとmaneKEYの決済システムはDGフィナンシャルテクノロジーが提供
DGフィナンシャルテクノロジーは、aiPassに対して、クレジットカード決済に加え、会員IDを複数サービスで共用可能な共有IDとし、カード情報を紐づけ管理する共通ID機能「PayNowID(ペイナウアイディー)」を提供しています。
aiPassの場合、宿泊者は事前にサービス内でカード情報を登録しておくことで、チェックアウト時に滞在中の支払いをまとめて精算できるほか、共通ID機能により、初回以降カード情報を入力することなく簡単に支払いが可能です。また、多店舗展開する宿泊施設では、複数の宿泊施設の売上をまとめて管理できます。
また、maneKEYでは、DGフィナンシャルテクノロジーが提供する決済サービス「VeriTrans4G」と連携することにより、チェックアウト前など、チェックアウト時以外にも決済が可能となりました。また、現在の支払い方法はクレジットカードのみですが、今後はVeriTrans4Gが対応する電子マネーやキャリア決済、PayPayなどの各種ID決済にも随時対応予定です。
HOTELSMART(ホテルスマート)
HOTELSMARTは、低コストを訴求しているクラウド型のスマートチェックインシステムです。
宿泊客は、ホテルのフロントに設置されたタブレット端末を使って、宿泊者情報の取得から、本人確認、パスポート情報取得、鍵番号の表示などを行い入室まで完結できます。スマートロックとの連携や24時間対応コールセンターが用意されており、法令に対応したフロント業務の無人化が可能です。
Stripe(ストライプ)やmPOS(エムポス)と連携しており、宿泊費などの事前決済や現地決済も可能です。
なお、mPOS(エムポス)はDGフィナンシャルテクノロジーのグループ会社「ANA Digital Gate株式会社」が提供しています。
スマートチェックインの決済システムもお任せください
DGフィナンシャルテクノロジー(旧:ベリトランス)は、ご紹介したaiPassやmanaKEY以外の複数のスマートチェックインサービスにも、総合決済ソリューション「VeriTrans4G」や、会員IDを複数サービスで共通ID化する機能「PayNowID(ペイナウアイディー)」を提供しています。
また、日本電気株式会社(NEC)と共同で、静岡県が実施する「海の湖」顔認証決済実証事業や、「南紀白浜 IoTおもてなしサービス実証」で自治体向けに顔認証によるクレジットカード決済サービスを提供。顔認証データを1つの共通IDとして利用し、エリア内の宿泊施設や飲食店などで顔認証決済できる仕組みを構築するなど、キャッシュレス決済の側面から事業者様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援しています。