2022/02/28
サブスクリプションサービスと言えば、動画や音楽などのデジタルコンテンツの配信や、化粧品の定期購入などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、最近では飲食店、衣服やバッグ、自動車、ホテル、住宅までさまざまな業種・業態にまで広がっています。
近年成長が目覚ましいサブスクリプションサービスの市場規模や、注目されている理由、具体的な利用動向などをまとめて解説します。
この記事の目次
サブスクリプションサービスの市場規模と今後の予測
矢野経済研究所の調べによると、2018年度のサブスクリプションサービスの国内市場規模は、エンドユーザー(消費者)の支払額ベースで5,627億円でした。成長は今後も続く見通しで、2023年度には8,623億円と、2018年比で約1.5倍に急成長するとの予測もあります。
特にサブスクリプションサービスの利用率が高く、市場をけん引しているのが動画配信・音楽配信です。2018年を通して有料動画配信サービスを利用した人の割合は16.3%でした。これは2016年に比べて約1.3倍です。音楽配信におけるサブスクリプションの売上高は2018年時点で315億円で、音楽配信売上高全体の約半分を占めるまでに成長しました。
出典:
消費者庁『サブスクリプション・サービスの動向整理』
総務省『平成30年版 情報通信白書』
サブスクリプションサービスの市場規模が拡大している理由
消費者の価値観の変化
消費者の価値観は変化し、モノの豊さよりも、心の豊かさを重視する人が増えている傾向にあります。消費者庁「消費生活に関する意識調査」(2016年度)によると、「できるだけモノを持たない暮らしに憧れる」という考えに対して「かなり当てはまる」「ある程度当てはまる」と回答した人の割合は51.9%に上りました。
近年、「モノ消費」から「コト消費」へと言われるように、商品・サービスそのものの購入や所有ではなく、それらを通して得られる「体験」に価値を見出す人が増えている傾向にあります。このことが、「使いたいときに、使いたい分だけ使う」というサブスクリプションの利用を後押ししている可能性があります。
コロナ禍による消費行動の変化
コロナ禍で従来の行動が変化したことで、利便性の高いサブスクリプションサービスの利用が進みました。
例えば、「住宅サブスク」とも呼ばれる住宅定額利用サービス。月々一定の金額を支払えば、全国に用意された住宅のなかから、どこでも好きな場所を選んで住むことができるサービスです。コロナ禍でテレワークが定着したことや、場所を選ばずに働く「アドレスホッパー」という生活スタイルが普及したことから注目されました。
他には、ホテルの月額利用サービスも挙げられます。コロナ禍で観光客やビジネス客が減少した一方、テレワーク需要が増えたことで、このようなサブスクリプションサービスが自宅以外で働く人の受け皿となったのです。
多彩な商材・サービスの登場
サブスクリプションサービスの商材・サービスも多様化しています。
もともと、サブスクリプションサービスと言えば先述の動画・音楽・ソフトウェアなどのデジタルコンテンツ以外には、ファッションレンタル、化粧品の定期購入などが知られていました。
しかし、最近では自動車や家具、メガネ、マスクなどこれまでになかった商材が次々に登場している状況です。航空往復券と宿泊券がセットになった交通インフラ系サブスクリプションサービスや、企業の地方拠点としてオフィスやオフィス家具を貸し出すことで地域活性化につなげるサブスクリプションサービスなど、拡張性のある新たなビジネスモデルも生まれています。
また、サブスクリプションサービスは一般消費者向けのBtoCが中心でしたが、最近はBtoBのサービスも増えてきており、従来のリース契約に代わる選択肢としても注目を集めています。
サブスクリプションサービスの利用動向
■利用率の高いサービスランキング
三菱UFJリサーチ&コンサルティングがサブスクリプションサービスの利用者にアンケートを取ったところ、利用率が高いサブスクリプションサービスの順位は以下の通りでした。
- 動画定額配信サービス
- 音楽定額配信サービス
- 電子書籍・雑誌・コミック定額配信サービス
- ソフトウェア定額サービス
- ゲーム定額配信サービス
デジタルコンテンツが多くを占めており、飲食やファッション、自動車など非デジタルコンテンツのサービスの利用率はいずれも5%未満とそれほど高くないものの、「今後利用してみたい」と考える人は多く、潜在的なニーズがあることが伺えます。
■年代別利用経験率
20代以降を対象にした調査では、サブスクリプションサービスは総じて若い人ほど利用率が高く、年代が上がるにつれて利用率は低くなります。なお、若い世代は解約経験率も高い傾向にあります。
特に以下のサービスは、若い年代の利用比率が高くなっています。
- 動画定額配信サービス
- 音楽定額配信サービス
- 電子書籍・雑誌・コミック定額配信サービス
- ゲーム定額配信サービス
「ソフトウェア定額サービス」や非デジタルコンテンツのサービスでは、30代以降の利用比率が高くなります。
ひと月当たりの支払金額について、年代による差はそれほど大きくありませんが、40代では1,000円以下の利用者の割合が57.7%で、他の年代よりも支払金額が少ない利用者の占める割合が高い傾向にあるようです。一方で、毎月3,000円以上を支払う利用者の割合は20代が最も少なく、30代が30.2%と最も多いという結果でした。
注目される新たなサブスクリプションサービス
「ADDress」が日本各地で運営する家に定額で住めるサービスです。電気代・ガス代・水道代は全て込み、敷金・礼金・補償金などの初期費用は一切かかりません。生活・仕事に必要なものが完備されており、何度でも移動可能です。
コロナ禍で都会に住むメリットが薄れ、地方移住のニーズが増えたことやテレワークの普及が利用を後押ししています。
出典:ADDress【公式】定額住み放題 多拠点生活プラットフォーム
「TuyTuy」は、2021年5月12日から2021年10月31日まで実証実験が行われました。東急線PASMO定期券の利用者限定で、「シェアサイクル」、「シェア傘」など環境に配慮したさまざまなシェアリングサービスを月額500円/月で利用できるというサービスです。
「まちパス」は、FC町田ゼルビアとfavyが共同で提供する地域活性化を目的としたサブスクリプションサービスです。月額980円を支払えば、町田エリア内の対象の飲食店で来店ごとに何度でもドリンク1杯無料などの特典を受けられ、お店や町田エリアのスポーツ事業に「まちパス」の売上の一部が還元される仕組みとなっています。
出典:株式会社favy『町田エリアの飲食店で使える定額サービス『まちパス』』
「Air as a Service」は、ダイキンエアテクノによる定額制空調サービスです。ユーザー自身は設備を持たず、ダイキン側が設備を保有して、快適な空調サービスを提供します。
初期投資や古くなった空調機の買い替え費用も不要で、維持管理コストも大幅に削減できる点が魅力です。
サブスクリプションサービスを利用するときに重視されるポイント
前掲のアンケート調査によると、サブスクリプションサービスを申し込む際に利用者が確認する主なポイントは以下の通りです。
- 価格、割引条件(76.0%)
- 支払方法(52.3%)
- 利用条件(46.0%)
支払い方法も主要ポイントとして上げられており、ユーザーを獲得して離脱を防ぐには、ニーズに合った決済手段を幅広く用意することが大切と言えます。
オンラインでサブスクリプションサービスを始める上で導入しておきたい決済手段は以下の4種類です。主要ユーザー層である10代~40代の利用率が高く、なおかつサブスクリプションで不可欠である継続課金との親和性が高いという条件を満たしています。
- クレジットカード決済
- キャリア決済
- ID決済
- Web口座振替
最も良く使われる決済手段はクレジットカード
クレジットカード決済はオンライン決済で最も利用される決済手段であるため、優先的に導入することをおすすめします。
クレジットカードの決済時に課金失敗となる主な原因のひとつはクレジットカードの期限切れです。利用している決済サービスに、クレジットカードの有効性をチェックして最新情報に更新する「洗替」機能があれば、カード情報を更新する際にユーザーにカード情報を再度入力させる必要がないので、顧客の離脱率を防ぐことができます。
また、クレジットカード決済で、「初月無料」または「初回登録時から3か月無料あるいは割引」といったキャンペーンを考えている事業者にとっては、「課金金額や課金のスケジュールを柔軟に調整できる機能があるか」もポイントです。
オンラインサービスと相性の良いID決済
ID決済は、大手プラットフォーム各社のIDとパスワードのみで支払いができる決済手段です。具体的にはPayPay、Amazon Pay、メルペイなどがこれに当たります。
スマホアプリやオンラインサービス運営企業が提供しているケースが多く、日頃からオンラインサービスに慣れ親しんだユーザーが利用していることが想定され、オンラインサービスと親和性が高い点が魅力です。なお、定期的な課金に対応しているID決済は限られるため、導入前に確認する必要があります。
少額のオンラインサービスと相性の良いキャリア決済
キャリア決済はキャリアの登録ID・暗証番号で支払いが可能な決済手段です。カードを持っていない若年層にも対応できるのに加えて、多くの人がスマートフォンを介してECサイトやサービスにアクセスしているため、こういったユーザーの離脱を防止する効果が期待できるでしょう。
なお、ID決済やキャリア決済には利用限度額があるので、商材の金額も考慮して導入前に確認することをおすすめします。
幅広いユーザーに対応できるWeb口座振替
Web口座振替とは、従来は紙の口座振替依頼書を用いていた料金支払いに関する口座振替情報の登録を、インターネット上で完結させることができるサービスです。金融機関の口座を持っていれば支払いが可能なので、幅広い顧客に対応できます。
以上、4種類の決済手段を紹介しましたが、どの決済手段を導入するかは自社のターゲット層や商材、料金プランを考慮して検討することがおすすめです。
DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて詳しく知りたい方はこちら
DGフィナンシャルテクノロジーはサブスク型ビジネスを決済面でサポート
DGフィナンシャルテクノロジー(DGFT、旧:ベリトランス)では、上記のようなサブスクリプションサービスに適した決済システムを幅広く提供しています。
継続課金・サブスクリプションを開始する事業者は、まず最も利用率の高いクレジットカード決済の導入を検討するのがおすすめです。DGFTではクレジットカード決済の継続課金に対応した、都度購入のリピーター購入機能「再取引き」機能と固定の会員IDに紐づけたクレジットカード情報を利用して次月以降の課金が可能となる「PayNowID」機能(オプション)を提供しています。
また、オプションで洗替サービスも提供しており、カードの有効期限切れによる販売機会の損失を防ぎます。
その他も、キャリア決済はもちろんAmazon Pay、PayPay、メルペイといった定期課金に対応したID決済や、Web口座振替機能も提供。当社の営業担当者が、事業者様の業種・業態・商材をヒアリングした上で、最適な決済手段や機能を提案します。サブスクリプションサービスの開始を検討されている事業者様はぜひお問合せください。