eコマース市場はまだ伸びる!おさえておくべき今後のトレンドと課題

2020/04/23

eコマース市場はまだ伸びる!おさえておくべき今後のトレンドと課題

1. eコマース市場の国内規模は堅調に推移

国内のeコマース市場は堅調に伸びています。特に、BtoCとCtoC分野の成長は著しく、スマートフォンの利用率の拡大は見逃すことはできません。ここでは分野別に国内のEC市場の動向を紹介します。

1-1. BtoC-EC市場の動向

2018年、日本国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は18.0兆円で、これは前年の16.5兆円と比べて8.96%の伸び率でした。個人消費に占める物販分野のEC化率は6.22%で、こちらも前年の5.79%と比べて0.43ポイントの増加です。

■BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率
  2017年 2018年 伸び率
総計 16兆5,054億円 17兆9,845億円 8.96%
物販系分野 8兆6,008億円
( EC化率 5.79% )
9兆2,992億円
( EC化率 6.22% )
8.12%
サービス系分野 5兆9,568億円 6兆6,471億円 11.59%
デジタル系分野 1兆9,478億円 2 兆382億円 4.64%

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

特に成長している分野は物販やサービス系で、飲食サービスや旅行、チケット販売、理美容サービス、金融サービスなどが挙げられます。物販の伸びについては、パソコンからだけでなくスマホからでも手軽にECサイトでの取引ができる環境が整ってきていることが要因のひとつと考えられます。

サービスについては、例えば飲食業において従来の店舗による出前だけでなく、個人に配送を委託できる「Uber Eats」などの新しいプラットフォームが伸びていることも市場の成長を後押ししていると言えるでしょう。

1-2. スマートフォン経由での利用が急速に拡大

eコマース市場では、近年スマートフォン経由の利用が急速に拡大しています。BtoC-EC市場の物販分野におけるスマートフォン経由の取引規模は3兆6,552億円と、前年に比べて6,462億円(21.5%)の増加でした。BtoC-EC市場の物販分野の規模は9兆2,992億円で、スマートフォン経由での取引は、全体の39.3%に相当します。

■BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模
2018年の物販 BtoC-
EC市場規模 …(A)
9兆2,992億円
うち、スマートフォン
経由 …(B)
3兆6,552億円
スマートフォン比率
(B)÷(A)
39.3%

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

また、BtoC-EC市場の物販分野は前年比6,984億円の増加でしたが、スマートフォン経由の利用額は先述の通り6,462億円の増加だったため、市場全体の伸びとスマートフォン経由の伸びは一致している状況です。BtoC-EC市場において、パソコンからスマートフォンへの移行が市場の伸びを牽引しているといっても過言ではないでしょう。

物販分野において特にスマートフォン比率の高いカテゴリーは「衣類・服飾雑貨等」で、全体の50%強と推定されます。次いで「書籍、映像・音楽ソフト」「化粧品、医薬品」「雑貨、家具、インテリア」が約30%台となっています。

これは、女性や若年層といったファッション・アパレルに高い関心を持つ消費者層が、スマートフォンで買い物をする傾向が強いからだと考えられるでしょう。また、近年は高齢者のスマホ利用も急速に進んでいますが、まだ高齢者層のECにおけるスマートフォン利用率は低く、シニア層向けの分野は今後も成長の余地があると言えそうです。

1-3. 今後のeコマース市場規模の予測

今後もeコマースの市場規模は拡大していくことが見込まれています。2019年に野村総合研究所が発表したレポート「ITナビゲーター2020年版」によると、2018年時点で約18兆円 だったBtoC-EC市場は、2025年に27.8兆円に成長するとの予測です。

また、ECやリアル店舗を含むオムニチャネルコマース市場についても、2018年の54.4兆円 から、2025年には80.6兆円に伸びることが予測されています。このことから、EC市場の拡大は、実店舗の需要がECへと単純に移行するわけではなく、実店舗とEC市場は両立しながら、消費が多様化していくということが見込まれています。

■日本におけるオムニチャネルコマース市場とB2C EC市場
日本におけるオムニチャネルコマース市場とB2C EC市場

出典:野村総合研究所『ITナビゲーター2020年版』 のデータをもとにベリトランスが作成

1-4. BtoB-EC市場の動向

2018年の日本国内におけるBtoB-ECの市場規模は344.2兆円で、前年の318.2兆円と比べて8.1%の成長率でした。また、「その他」の業種を除いたEC化率は30.2%で、前年の29.4%と比べて0.8ポイントの増加です。

■BtoB-EC市場規模の推移
BtoB-EC市場規模の推移

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

2017年から特に伸びた業種は、順に「卸売」「輸送用機械」「繊維・日用品・化学」「電気・情報関連機器」でした。小売業は一般消費者向けにEC化が進んでいる状況ですが、企業間の取引である卸売業でもEC化が進んでおり、流通業全体でインターネット取引が活発になっていることがわかります。

1-5. CtoC-EC市場の動向

CtoC-EC(個人間のインターネット取引)市場も伸びていることがわかります。2018年のフリマアプリの市場規模は、推計値で6,392億円でした。これは2年前と比較して2倍以上の規模です。2012年にこういったサービスが初めて登場してから、わずか6年で急成長しました。

■フリマアプリの推定市場規模(単位:億円)
フリマアプリの推定市場規模(単位:億円)

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

CtoC-EC市場ではその約半数をアパレル商品が占めています。中古品が出回ることで、一部のブランドやメーカーは影響を受けているという指摘もありますが、国内における同カテゴリーのBtoC-EC市場の規模は1兆7,728億円と前年から7.74%伸びており、堅調に推移している状況です。

このことから、CtoC市場は今後も成長が見込まれると考えられていますが、現状ではBtoC市場を侵食しているというようなネガティブな動向は見られないと言えるでしょう。むしろ、中古(二次市場)の流通量が増えることで、新品(一次市場)が活性化することが期待されています。

2. 世界のeコマース市場と日本の関係

日本のeコマース市場は拡大傾向ですが、世界と比べるとどのような傾向があるのでしょうか。ここでは、日本と世界のeコマース市場の比較と、越境ECの動向について解説します。

2-1. 世界のeコマース市場は日本国内よりも拡大傾向が強い

世界のeコマース市場は、日本国内よりもさらに成長傾向にあります。2018年の世界におけるECの市場規模は313兆円でした。これは対前年比23.3%もの成長率で、2021年まで対前年比2桁成長が見込まれています。このうち、アジア太平洋地域の市場規模は全体の61%にあたる190兆円です。

ECの市場規模を国別に見ると、中国が1兆5,267億米ドルと突出しています。次いでアメリカ、イギリス、そして日本という順番です。世界の小売市場に占める中国の割合は22%でこれは米国とそれほど変わりません。しかし、EC市場全体に占める中国の割合は約52%で、2位のアメリカの3倍近くもの規模になっています。

■世界の小売市場・EC 市場における地域別および主要国が占める割合(2018年)
世界の小売市場・EC 市場における地域別および主要国が占める割合(2018年)

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

2-2. 越境ECが活況。日本は対中国取引が重要に

世界では越境EC市場が活況で、日本は特に対中国取引が重要な位置を占めています。2018年世界における越境EC市場の規模は6,760億米ドルでした。対前年比27.5%もの成長率で、2020年まで年20%台の成長を続けることが見込まれています。

越境EC市場を国別に分けると、トップがアメリカで400億米ドル、次いで中国(390億米ドル)となっており、3位のイギリス(120億米ドル)やそれ以下の国を大きく引き離している状況です。

日本の越境BtoC-EC取引における主要相手国はアメリカと中国で、アメリカからの購入額は2,504億円、中国からの購入額は261億円となっており、これらを合計すると市場規模は2,765億円に上ります。米国の越境BtoC-EC取引における日本からの購入額は8,238億円で、中国の越境BtoC-EC取引における日本からの購入額は1兆5,345億円です。

日本、アメリカ、中国の3国間の取引規模は非常に大きく、特に中国との取引金額が急成長しているということがわかります。

■越境EC市場規模(2018年)
越境EC市場規模(2018年)

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

2-3. 国内eコマース市場のシェアはAmazon・楽天が圧倒的

国内eコマース市場では、Amazonと楽天のシェアが圧倒的です。2018年のネット通販売上ランキングのトップはAmazonで約1.5兆円でした。楽天は提供するECサービス全体で3.4兆円になり、楽天市場だけに絞っても2兆円を超えるとされています。

ネット通販で売上が上位の分野はモール系、BtoB系、家電系、アパレル系が占めており、特に成長率が大きいのがアパレル系です。アパレルは実店舗中心だった従来からECの普及、そしてオムニチャネル化が進んでいることが背景にあると考えられます。

国内EC市場の動向を海外と比較すると、2015年時点で世界のEC市場のうち、中国のアリババが26.6%、アメリカのAmazonが13%、同じくアメリカのeBayが4.5%、中国のJD.comが3.8%を占め、楽天は1.5%です。

また、2018年の調査によると、世界41カ国を対象とした越境ECの企業ブランド別シェアは、Amazon(23%)、Alibaba/AliExpress(16%)、eBay(14%)と続きます。

■越境ECを行う場合の購入先事業者(世界31市場対象)
越境ECを行う場合の購入先事業者(世界31市場対象)

出典:経済産業省『平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』

3. eコマース市場の3つのトレンド

国内においてはeコマース市場が急成長しており、さまざまな事業モデルが現れていますが、そのなかでもいくつかのトレンドが見られます。ここでは3つの傾向について紹介します。

3-1. より顧客のニーズに合わせた価値の提供(パーソナライゼーション)

日本を含む10カ国でインターネットと実店舗における価格を比較した調査によると、日本では45%が「ネットのほうが安い」という結果でした。これはアメリカの22%、中国の6%と比較して圧倒的に高い割合です。
つまり、日本国内では実店舗とECサイトの間、あるいは、ECサイト同士で激しい価格競争が起こっていることが推測されます。

今はインターネットやスマホが普及し、消費者はいつでもどこでもECサイトにアクセスして、価格や商品情報を比較できる世の中です。そのような環境で、メーカーや販売業者が価格競争を続けても疲弊してしまうでしょう。そこで生き残るためには、競合との差別化を図り、消費者に対して独自の付加価値を訴求する戦略が重要になりつつあるのです。

例えば、大手ECサイトでは、ユーザー個人の属性、行動履歴、導線、アイテム属性といったデータを反映して最適なコンテンツをレコメンドしたり、丁寧なアフターフォローを提供したりしています。こういった顧客満足度の向上や囲い込みの強化につながる施策は不可欠です。

3-2. オムニチャネル化による実店舗とのシナジー強化

現在は、eコマースへの移行が進み、スマートフォンが普及したことで消費者の購買行動が変化しています。このような市場環境のなか、実店舗のみ、ECのみといったシングルチャネルでのマーケティングには限界があるでしょう。また、マルチチャネル展開していても、実店舗とECといった各チャネルの戦略を個別に実行するやり方では、顧客のニーズに対応できない可能性があります。

そこで、オムニチャネル化によって、実店舗とECとのシナジー効果を発揮する取り組みが重要です。オムニチャネルとは、顧客との接点である実店舗やECサイト、アプリ、SNSといった複数のチャネルをシームレスに繋げ、顧客満足度を向上させるスキームを指します。各チャネルを適切に連携させることで、ネットからリアル、リアルからネットといった集客も可能で、相乗効果も生まれやすいでしょう。

オムニチャネル化を推進するには、顧客データや購買行動をチャネル横断的に一元管理することが欠かせません。実店舗・EC・アプリなどの顧客アカウントを統合することで消費者の利便性が向上し、事業者は管理コストが下がるなど、双方にメリットが生まれるのです。

3-3. D2C(Direct to Consumer)

D2C(Direct to Consumer)とは、メーカーが外部モールを通さず、自社ECサイトで直接消費者に製品を販売するモデルを指します。

先述のように、現在のeコマース市場はAmazonや楽天などのシェアが圧倒的なので、メーカーとしてはこういったモールへの出店は魅力的であるのは確かです。一方で、モール内には競合製品もあるため自社が埋没してしまうリスクや、モールと自社間での販売ポリシーの不一致、コスト負担といった課題もあります。

そうした課題がありながら、シェアを順調に伸ばし続ける巨大モールに危機感を感じたメーカー側が注目しているのがD2Cです。自社での直販なら、販売方法を完全にコントロールできますし、近年はSNSやオウンドメディアによるマーケティングも普及しており、消費者とコミュニケーションが取りやすくなっています。

さらには、小・中規模事業者であっても、自社でのECサイト構築や、決済システム導入がしやすい環境が整っていることも、D2Cが広まっている背景として挙げられるでしょう。

4. 今後のeコマース市場で企業が直面する2つの課題

企業がeコマース事業を展開する際は、決済インフラの整備とセキュリティ強化が欠かせません。ここでは、EC事業展開にあたって企業が対応するべき具体的な課題について解説します。

4-1. 多様な決済手段への対応が急務

eコマース事業に参入する際は、決済インフラの整備が不可欠です。eコマースにおける決済では、クレジットカードやデビットカードを筆頭に、ID決済、後払いなどが増えてきており、コンビニ決済や代引きは減少傾向にあります。

QRコード決済と言えば、店頭においてスマホで読み取る方法をイメージしやすく、ECとの関連性は薄いと思われがちです。しかし最近では、QRコード決済のアカウントをECでも利用できるようなシステムも出てきています。アプリひとつで、実店舗でもECでも決済できれば、利用者は非常に便利に感じるでしょう。こうしたサービスを提供できれば、事業者としても大きな優位性となります。

オムニチャネルコマース市場が成長を続けるなか、LINE PayやPayPay、楽天ペイなど主要なQRコード決済サービスはオンライン決済への対応を拡大しているため、今後ECサイトでQRコードを利用したいというニーズが増えることが予想されます。

また、今後さらに拡大が予測される越境ECにおいては、各国で異なる決済手段に対応していく必要があるでしょう。特に、成長が続く中国市場の需要を取り込むためには、AlipayやWeChat Pay、銀聯カードなどへの対応は必須と言えます。

4-2. セキュリティの強化

eコマース事業ではセキュリティの強化も必須です。

ECや実店舗を含むクレジットカードの不正による被害額は増加傾向にあります。一般社団法人日本クレジット協会によれば、クレジットカード不正による被害額は、2014年は114.5億円、2015年は120.9億円、2016年は142.0億円、2017年は236.4億円と年々増加してきました。特に、2017年には番号盗用の被害額が176.7億円と急増しています。

事業者は、個人情報の漏えいやクレジットカードの不正利用を防ぐためにセキュリティ強化が欠かせない状況といえるでしょう。喫緊の課題としては、2018年6月施行の改正割賦販売法やその実務指針である実行計画への対応として、カード情報の非保持化やなりすましによる不正利用を防止するための対策を進める必要があります。

■クレジットカード不正利用被害の発生状況(単位:億円)
クレジットカード不正利用被害の発生状況(単位:億円)

出典:一般社団法人日本クレジット協会『クレジットカード不正利用被害の集計結果について』

5. まとめ

国内のeコマース市場は拡大傾向ですが、中国、アメリカといった各国の状況と比べれば今後も伸びる余地があると言えます。今後、eコマースが当たり前になっていくなかでは、「ただネットで売ればいい」という考えでは取り残される可能性があるでしょう。

スマートフォンの普及、オムニチャネル化、越境EC、D2Cといったトレンドを意識しながら戦略を立てていく必要があります。また、顧客のニーズに合わせた多様な決済手段への対応や、セキュリティ強化も急務です。

ベリトランスでは、高セキュリティかつ多彩な決済方法に対応した決済サービスや、オムニチャネル展開に欠かせない顧客管理システムをご提供しています。eコマース展開を進めるにあたって、必要なリソースやノウハウが自社にない場合でも、スピーディにインフラ構築をサポートいたします。

また、デジタルガレージグループの豊富な実績をもとに、オムニチャネル化やO2Oマーケティングの戦略立案、実行支援まで、複雑化するeコマース市場において、あらゆる面から事業展開をバックアップします。

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